ガチャ紳士
バブみ道日丿宮組
お題:私が愛した紳士 制限時間:15分
ガチャ紳士
ガチャ狂いは、病気である。
これは彼に対しての手紙ではあるが、読まれることはないであろう。
重要、絶対、自由。
何がついてても彼は開封しない。
課金カード付きだったら、開封するかもしれないが結局中身は読まれることはないだろう。
第一に読んだかどうかなんてものは第三者にわかるはずもない。
監視カメラを用意して撮影すれば、多少なりともわかるかもしれないが一般的ではないし、手紙を見たかどうかの判断のために設置するにはコストがかかりすぎるだろう。
だから、読まれることはないと、私は思う。
「……」
ゲームではなく、リアルにお金を使って欲しい。
そう何度もいっても、彼はゲームにしか見向きしない。
画面の中にいるキャラクターが彼にとっては恋人であり、私は違うなにかなのだ。
そんな彼でも日常生活はきちんとしてる。
掃除、洗濯、料理、食器洗い。
私がしないほとんどを彼は行ってる。
それはやれということも、すべきだということもいってない。
彼にとってはガチャの合間にやることがそれだということだ。
「……ん」
その姿はとても生き生きしてて見るものは圧倒される。
だからこそ、私は課金カードを毎月30万あげてる。
私の仕事は毎月500万の給料が支払われる。そのうちのいくらかが彼のお小遣いになってるだけで、負担という負担にはなってない。
なぜなら、彼はガチャ狂い以外はとても紳士であるから。
少なくとも他人がいる間にその姿を見せることはない。私と一緒の間のみ、彼はガチャ狂いに走る。
『当たらねぇ、天井がねぇ、装備しかでねぇ』
毎日のように聞く言葉だが、面白い。
高額をつぎ込んでもでないアイテムはどのくらいの価値があるのだろうか? 彼は別にランカーと呼ばれる廃ユーザーではない。30万も課金するが、エンジョイ勢なのだ。
それは彼のプレイスタイルにもよるかもしれない。
毎日0時前には寝るし、7時には起きる。そして朝ごはんを作り、洗濯、掃除をする。私を見送ったあと、彼はゲームを始める。そこでの課金は多少しかしないとのことだ。
主に課金を使うとき、それは私がそばにいるとき。
つまり、彼は愚痴をこぼし、私に評価を求めてるのだ。
クソゲーなのだからやめたら、当たらないなら止めたら、別のことにお金を使えば。
などなどを言う私を見るのが趣味なのだ。そこに愛情があるかはわからない。好きと言われたことはないし、ありがとうと言われたこともない。
彼と同棲して、かれこれ5年は経つがあまり進行はしてない。
いっそのこと、私がゲームキャラクターになってしまえば、愛を受けるかもしれないが、愛情をもらうことはできない。
触れる、触られる関係は、今でしかない。
だから、私はこの関係を続ける。
いつか彼がほんとうの意味で紳士になってくれることを願ってーー。
ガチャ紳士 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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