二人
バブみ道日丿宮組
お題:宿命のあいつ 制限時間:15分
二人
あいつと初めてあったのは、幼稚園のことだった。可愛げのある女の子。そんなふうに思って、一緒に遊んだたりしたものだった。
そうして幼馴染のように中学まで交流は続いた。
小学校は同じで、中学校でもいつも同じクラスだった。
違うことがあるとすれば、あいつは可愛くて、俺は普通だということ。
「……またあいつか」
試験結果の紙が掲示板にはられてる。ここには上から下までの生徒の成績が記載されてる。あいつに勝っただとか、負けただとか、よくクラスの連中が話してる。
俺はといえば、当然上だ。
だが、あいつはもっと上。競争にならない位置にある教科もある。
競争してるわけではないが、こうやって形にされると気持ちが高ぶるのを抑えきれない。なにかで発散しないと爆発しそうだ。
「また私の勝ちね」
「……そうみたいだな」
声に振り返ると、あいつが立ってた。
いつの間に後ろにきたのだろうか。音は聞こえなかった。威圧感もなかった。
「保健体育と、数学は負けたかー」
「そうだな」
「えっちだね」
「違うだろ。一般的な身体の仕組みを赤らめて見れないお前が教科書に負けてるんだ」
そう。こいつは、授業中であろうが、勉強中であろうがまともに保健体育の教科書が読めない。教えてやるにしても、耳から耳へと言葉が流れてくようで記憶に残らない。
つまりは、勉強してもまともに覚えられないということ。
「他の教科は勝ってるんだもの。負けてもいいじゃない」
「大部分負けてるこっちはあまりいい気分じゃない」
ほんとのことだ。
どうして一緒に勉強してるのに結果が出せない。
どうしてこいつと同じレベルにたどり着けない。
どうしてもっと一緒にいられない。
「今日は復習しようよ。ねっいいでしょ?」
「打ち上げがあるんじゃなかったか」
クラスメイトとそんな話をしてるのを耳にした。
「あなたと一緒にしたいな。ダメかな?」
可愛い。ふとした仕草が愛おしい。
「……別にいい。俺の部屋でいい?」
「いいよ。あとそうだ」
一息。
「ーーそろそろ自分のこと、俺っていうのやめたほうがいいよ。女の子なんだから」
「いいだろ。そんくらい。ほらいくぞ」
待ってぇという声を背中に下駄箱へと足を進めた。
二人 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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