冥界

バブみ道日丿宮組

お題:おいでよ冥界 制限時間:15分

冥界

「いってらっしゃい」

 そう言葉をかけて、はや数週間。

 未だに彼女から連絡はない。

 故郷が冥界ということもあって、連絡が遅れるのは日常茶飯事。人界と冥界の連絡は伝言ゲームのように伝わってく。相手が取れなければ、それだけで数時間、数日の遅れが生じてく。

 彼女に何があったんじゃないかって思うことはあっても、そしたら彼氏である僕にすぐ連絡が来るはずだ。その問題を今回は持ち帰ったのだから。

 冥界は、人界とおおよそ3日くらいで行き来ができる。

 つまりは、数週間もあれば往復ができる。

「……行ったほうがはやいかな」

 連絡が来ないのであれば、追ってみるのも手だ。

 今回は結婚の話をするということで彼女は実家に向かった。僕は危ないからあとでという話であったが、もしかすると彼女は親に閉じ込められてるのかもしれない。

 そう思うと、いてもたってもいられなくなった。

 結婚に反対するというのならば、僕に話をしてくれなければ意味がない。彼女を軟禁したとして解決される話じゃないんだ。

 そうと決まれば。

「もしもし、やっぱり例の話受けることにするよ」

 親友に電話を掛けると、数コール待たずに出てくれた。

「用意はできてる。入り口の前でいいかな?」

 疑うことせず、親友はこうなるとわかってたと話す。

 用意とはいってもただの旅行支度と変わらない。あるとすれば、冥界語に翻訳されるネックレスぐらいか。彼女からプレゼントされてから使ってこなかったが、今日デビューを遂げる。

 うまく動いてくれよな。

「……いってきます」

 誰もいなくなる部屋に挨拶を残して、冥界の入り口へとむかった。

 今回は親友の助手として冥界を訪れることになる。ちなみに何か要件がない限りは、基本今の冥界は入ることはできない。もちろん、冥界人であれば自由に行き来はできる。

 本当であれば、冥界デビューは彼女としたかったが、願望はこの際捨ててしまおう。

 彼女が無事であることには変わらないだろうとは思うが、困り顔をしてる彼女は放っておくわけにもいかないだろう。

「さぁいこうか」

 親友の許可証とともに、冥界へ僕たちは入った。

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冥界 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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