第17話




 見間違えるはずがありませんでした。髪色と顔、名前が変わっていましたが、絶愛にマコトちゃんでした。わたくしは城に戻った後わたくしが信用している家臣のディーンに事を伝えました。


 「……なんと……お戻りになられていたのですかマコト様が」

 「えぇ。クロード様方には伝えていたのですが……まさかこんなことが……」


 街の方で噂になっていることもすでにわかっていました。なんでも一人のシスターが夜な夜な一人で救済を解いているのだとか。わたくしは事の次第を知りたかった。それをしているのは誰なのか。なぜこのような事をしたのか。わたくしは知る必要がある。お父様の代わりとして。この国の皇女として。


 「ディーン」

 「はい、なんでございましょう?」

 「もしかしたら彼女を止めなくてはならないことになりそうですわ」

 「それは一体……」


 わたくしは考えたくもなかったがこの考えしか浮かばなかった。わたくしは眉を顰めぽつりと言う。


 「…………マコトちゃんは……いえ。今の名前はマリアさんでしたが……彼女はこの国を憎んでいます」

 「ま、まさか……!?」


 ディーンも理解したのだろう。わたくしは厳かに頷く。


 「……復讐をしているんです彼女」




 血が飛ぶ。壁に血潮が飛び散る。一気に鉄の臭いが散漫する。先ほどまで生きていた人間が肉塊へと変貌していく。あぁ、その様を見るのも面白いものだ。机の端から血がぽたぽたと垂れていく。血の海が広がりつつある。私は部屋にするりと入り込む。この肉塊へと変えていった人物がそこにいた。私はその人物に銃口を向ける。


 「気はお済みですか?」

 「はい、シスター様」


 ゆっくりと振り向く女性。


 「今から貴方を救済いたします。言い残したことは?」

 「ありません」


 ただ一言そう告げる人物。私は笑みを浮かべ十字を切る。


 「貴方に「神のご加護があらんことを」」


 静かに私はそう言い放ち、その人物に向けて撃ち放つ。頭が吹き飛ぶ。ばたりと倒れていく。首から血がゴボッとしては血溜まりを作っていく。私は再度お祈りをし、肉塊たちを燃やしていく。そして後にする。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る