第7話




 翌日、学生寮にジークさんとコウヴェル侯爵がきた。どうやら話をしてきたみたい。ボクもみんなと話をして決めたことがある。それは勿論、その話は断ると言うことだ。


 「それで、どうかね?」


 貴族ってどこもかしこも一緒なのかなぁ。お願いする立場のはずなのに一体その態度はどこからくるというのだろうね。


 「お断りします」

 「……何?」


 ボクはニコッと笑んではっきりと口にする。コウヴェル侯爵はポカンとした顔をし、ジークさんはやはりといった顔をする。


 「だって、人に頼む側の人がそんなに偉そうだったら誰がお願いだとか聞くと思います?私は嫌です。だってそんなの頼みをきく義理がなくなりますから。人に頼むならそれなりの対応をするのが最低限のマナーだと思います」


 真っ直ぐと二人を見つめて、言い放つ。


 「い、いいのかねそんなことを言って」

 「コウヴェル様……失礼ながらマコト様のおっしゃる通りでございます」

 「し、しかしだがね……」


 二人が押し問答をする。ボクはそれを眺めてはいたが話は終わりとばかりに立ち上がる。


 「ま、待ちたまえ!そんなことを言えばどうなるかわかって」

 「どうでもいいです。私はアイリスさんと仲がいいんです(今は)。だから彼女を裏切りたくはないんです」


 振り向いては苦笑気味に笑んで一度口を閉じる。


 「なるほど……マコト様は律儀なのですね」

 「そういうことでもないと思いますけど……でも、今はその話は保留でお願いします」


 ペコリと頭を下げて退室する。



 ボクは今はまだウェンドリア大国には信頼を置いている。それはアイリスさんがいるからだ。もし、もしも彼女が国全体が裏切ったら……きっとボクは許せないだろう。どんな理由があっても裏切りというのは良くない……と思う。約束を反故にするのはボクでも何度かある。けど、信頼や信用を一気に失うほどの裏切りはしたことがない。というよりもする気がない。それを鑑みれば、ジークさんがいう律儀ということなのだろう。


 「どした?眞琴」

 「へっ?あ、耀樹……う、ううんなんでも………なくはないけど……」


 本を読むでもなく、ただぼーっとしていたのに心配でもしたのだろう。のだけど、顔が近い……ボクはそっと距離を取りつつも取り繕うように笑顔を浮かべる。


 「……えっとね?」


 先程のことを話す。耀樹は何やら考え込む様子を見せる。


 「眞琴」

 「……?何?」

 「俺はお前がどう判断しても俺はお前のことを悪く言わねぇ。むしろ俺が守ってやる」

 「へ?え、な、何いきなり」

 「いや、お前がそこまで悩んでるなんて思わなくてよ」


 そんな言葉をいう人だったっけ?てくらい今困惑している。きっとどことなく顔が赤いのだろう。所謂告白みたいなことをされたのだから。


 「そ……そっか……う、うん……ありがと…」

 「お、おう……」


 二人の空間がドギマギする感じがする。それが余計……居心地が悪い。ボクは顔を逸らし、横髪をいじる。


 「なぁ〜んとも甘い空気よね」

 「そうだね。でもこれで付き合ってないっていうんだから……おかしな話だよ全く」


 そんな僕たちをよそに莉奈と聖人が会話してる。


 「どうする?入る?」

 「いや、やめておこう。今は二人だけの世界にさせておこう」


 そういって、二人が後にする。





 「どうでしたか恨みは果たせましたか?」

 「は、はい……ありがとうございますシスター様」

 「いえ、いいんですよ。それでは、貴方に「神のご加護があらんことを」」

 「え?」


 私は微笑んだまま銃を撃つ。血糊が脳漿がぶちまけられる。鉄の臭いが充満する。私は銃をしまい、お祈りの仕草をし、屍体を燃やす。燃えていく様を眼窩に収める。救済は完了した。私は教会の中へと戻っていく。


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