10話 vs.3級魔族アドロ&メリッサ
・9月15日・ 昼 ……4つめの盗賊のアジト……
「さて、ぼくたちもやろうか?」
と、コニマと名乗った2級魔族が呟く。
……まて、展開が急すぎて頭が追いつかない
魔族の仕業なのは知っていたが、まさか4体も待ち伏せしているとは……しかもアリスを殺した張本人のリリまでいる。
(お兄さん、戦うしかないみたいだよ)
(わかっているが、2級魔族はアリスだって歯が立たなかったんだろ? しかも今は2体いる!! まともに戦ったらやられるぞ!)
と、アリスと話していると隣にいたディグミアが叫ぶ
「緑中級魔法"ディア・プランタ"!」
突然、コニマの足元から太い植物が生え、それらは絡みつく。
「お前らが……俺の家族を殺したのか?」
だが、コニマは平然とした顔で、
「ぼくのあいては、おじさん? おっけ! たのしもうか!」
そう言うと、絡み付いていた植物をコニマは引きちぎる。
「なっ!?」
次の瞬間、ディグミアは凄まじい衝撃でマリンのいる方向とは逆方向に吹き飛ばされる。
(触れずに吹き飛ばした……?)
これほどまでに強いのだろうか、2級魔族は……
「あとはまかせたよ! ふたりとも! ははははは!」
コニマはディグミアを吹き飛ばしたあと、背中から漆黒に染まった羽を出し、ディグミアの後を追う
――この場に4人が残る
「あわわわ、戦うのですか? 苦手ですが命令なので頑張りますね!」
金色に染まった長髪を束ねながらメリッサは前を向く。
「落ち着きなさい、メリッサ」
銀髪に染まった短髪をかき上げながら、アドロは手を前にする。
(お兄さん、早くこいつら倒して、リリのところに行こう)
(アリス……わかった。ディグミアが心配だが、そこはソニアと分担しよう)
「なんか大変なことになっちゃったけど、とりあえずこいつらのせいでみんな監禁されたり、殺されたってことでいいのよね?」
「ああ、おそらく」
「とりあえず生捕で……後で色々聞き出さないと」
「わかった」
これまで黙っていたソニアも戦う気満々のようだ。
戦闘が始まる。
先に動き出したのはソニアだ。
短剣を手に、メリッサに接近する。
だが、たどり着く後少しのところでアドロの妨害が入る。
「初級水魔法"リュビア"」
水の玉3発ほどが高速でソニアに襲いかかる。
ソニアはそれに動じず、短剣で水の玉をかき消す。
それを見計らってたようにメリッサはソニアに向かい、魔法を打つ。
「初級太陽魔法"リャーマ"!!」
計12発の火の玉がソニアに襲いかかる……が、その場に高速で移動した陽太がソニアの前に立つ。
(アリス! 魔法頼む!)
(ええ! 初級太陽魔法"ブースト"!!)
アリスの部分憑依により、実質無詠唱魔法が行われる。
それにより、目の前にくる火の玉12発を全て拳ではたき落とす。
「ありがとう、陽太!」
「ああ!」
アドロとメリッサはその光景を見ると、距離をとった。
「ねね、ねぇ、あ、あの人間おかしいよ? 詠唱してないのに魔法の反応した! は、反則よ! 反則!」
「落ち着きなさいメリッサ。ただ詠唱しないだけで驚いている場合じゃないわ。落ち着けば何がきても対処できるはず」
そこからは距離を取り、魔法の打ち合いが始まる。
近づこう唱えようすれば、魔法で狙われ、遠くから魔法を打てば避けられる。
このままだと時間がかかりすぎる……
"ダブル・ブースト"を使ってもいいのだが、あれは反動がでかいし、何より消費魔力もわりとでかい。使い所は見極めだな
(ぶっつけ本番になってしまったが、あれを試してみるか……)
(なんかあったっけ?)
(この砂漠では魔法が魔物に通じなかったから、試す機会がなかったが、俺たちは中級魔法が使えるんだ。ってことは中級魔法士の特性が身についたってことだろ?)
(あぁ! そいうえばそうね!)
「初級魔法"リャーマ"!!」
俺は手を前にし、小さい火の玉をマシンガンのように計60発ほど両手から打ち込む。
「なんだこりゃ!?」
「メリッサ、落ち着きなさい! 落ち着いて、いっぱいあるけど威力は弱いわ!」
アドロとメリッサは火の玉から避けるため互いに離れる。
だが、アドロの逃げる先にはソニアが待ち構えていた。
「しまっ……」
「アドロ!!」
メリッサが、アドロの元に向かおうとするが、その前に陽太が現れる
「!?」
「このくらいかな……初級太陽魔法"リャーマ"」
それは普通よりも3倍ほどでかい火の玉、それはメリッサに向かう。
メリッサは避けようとするが、急に現れた火の玉に対処できず当たってしまう。
「きゃあああ!!」
よし、よかったやっぱりできた
……今俺が行ったのは細かい魔力コントロール調整だ。
普通、中級魔法が使えると、中級魔法士を名乗ることができる。中級魔法士になると魔力コントロールができるようになり、魔法の威力を弱めたり、強くしたりすることができるのだ。
もしもできなかったら、中級魔法を使うところだった。
「ソニアの方も終わったか……ん?」
よく見ると、ソニアはいるが、アドロがいない……まさか!?
「陽太! 転移魔法よ!!」
「くそ! 使えるのか!?」
慌ててメリッサの倒れている方向を見る。
するとアドロがメリッサを起こしていた。
「人間の分際で……!! メリッサ、まだ行けるわね?」
「う、うん……アドロ……」
「あれ、やるわよ」
「……!! うん分かった!」
2人は片方の手で手を繋ぎ合い、片方の手を前に出す。
2人の手から魔力が急激に集まっていくのを感じる。
「ソニア! あれはなんだ! 相当やばそうだ!」
「陽太、あれは合体魔法よ! 通常の魔法よりも威力がとてつもなく高いわ!」
そんなものがあるとは……くそ、中級魔法を使うしかないのか……!!
(お兄さん、方法が1つあるよ)
(まじか! それはなんだ?)
(お兄さんとソニアさんも合体魔法使えばいいんだよ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます