6話 地下迷宮と分かれ道

・9月12日・ 昼  ……地下迷宮?……




 迷宮の階段を降りるが、道がどんどん暗くなる。




(火であかりをつけるのは危ない……よな?)




 初級太陽魔法である”リャーマ”を使えば火は出せる。


 だが、コントロールが俺にはまだできないのでこんな場所でやれば全員真っ黒焦げだ。




(そんな今のお兄さんにおすすめの魔法があるよ)




(おすすめ? それはなんだ?)




(初級太陽魔法である”サンライト”、これは暗いところには便利でね、指先を光らせるだけの魔法だね。今のお兄さんならこの程度の魔法は使えると思うよ)




「初級太陽魔法”サンライト”」


 詠唱を終えると指先に魔力が集中し、光る。


「太陽魔法に光らせるためだけの魔法があるとは聞いていたけど、まさか本当にあるとは思わなかったよ」




 ソニアが驚いている、少し気になるのはいつもより元気がないことだ。


 実際、ここにいるマリン以外の俺、ソニア、アリスはなるべくいつも通りでいようとしているけど、暗い気持ちが隠しきれていなかった。




 しばらく歩いていると……




「別れ道か……」




 左は階段も終わり、まっすぐの道、右は壁の色が紫に変わっており、階段が続いている。


 ただ、右は俺でもわかるほどに魔力が不安定になっている。


 嫌な気配がする、と言ったほうがわかりやすいだろうか。


 正直、ここには行きたくない




(なんか気持ち悪い雰囲気ね)




(あぁ)




 アリスもこの反応、やっぱ後回しにしたほうが良さそうだな




「と、とりあえず左から探すか」




「えぇ、そうね……」




 ソニアも何かを感じたらしく、賛同してくれる。




         ***




 左の通路を選んだわけだが、この空間にはとても不思議な感覚がする


 地上の暑い砂漠とは違い、とてもひんやりしていた。




「ここはおそらく、安全地帯ね」


「安全地帯?」


「灼熱地獄の影響を受けず、魔物のいない特殊な空間のことよ」


「どおりで魔物もいないと思った」




 砂漠にはこんなところがあるのか




 歩いていると、通路の幅が徐々に広くなり、光が見えてくる。


 どうやら松明らしい。


 右や左には他の道が複数見える。


 ……これ全部どこかに繋がっているのか




 10個ほどの分かれ道はどれも奥まで続いていそうだ。


 俺は”サンライト”を解いた




「とりあえずこのまま、まっすぐ進んでみない? この奥はそれほど長くはなさそうだから、先に見ておいてもいいのかなって」


「そうだな、とりあえず先に行くか」




 ふと手を握っているマリンの方を見ると、何かを期待してる目をしていた。


 手を繋いでない方の手をあげている……




「抱っこして欲しいのか?」




 マリンはこくこくと頷く。


「よいしょっと……軽いな」




 精神的に疲れていた陽太達にとってマリンの行動は癒しになっていた。




          ***




 奥に続いていた通路はそれほど長くなく、5分ほどで行き止まりについた。


 ただ、そこにあったのは……




「魔法陣?」


「これは、転移の魔法陣ね。でもこんなところにあるなんて……」


「入ってみても平気かな?」


「いや、危険ね」




 少し気になるが、このような場所では少しの行動が命取りだ。


 とりあえずまた後で来よう。




「まぁそうだよね。先に戻って他の分かれ道を調べてみようか」


「そうね」




 先程の広い分かれ道が複数ある部屋に戻るが




「おい! てめえら! ここでなにしてやがる!」




 そこには数10人ほどの男が俺たちを待っていた。


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