第27話 邪神と魔王

「神様にとっての一番の供物はなんだと思う?」

俺はそんなこと知らなかった。

だって誰も教えてくれてないのだから。

たまに魔王の手下や害獣というか異世界特有のモンスターなんかを倒したら、ミオたちは他所の村が貨幣や食糧をもらうようにしていた。

その一部はミツハに供物として献上されている。

「もちろん、金銀財宝や食糧ではないのはわかるよね?」

俺は口を閉じた。


では朝夜やっているお祈りはどうだろう。

前世でも仏壇に拝んでいたからそれではないだろうか。

「祈りとかか?」

「それも正しい。だが一番ではないかな。覚えておくといい。神にとって一番の供物は人間の命だよ。」


「なら、ミツハも人を殺すのか?」

「違うよ。僕は殺さない。人を殺すのは邪神と呼ばれる神たちさ。他の宗派がなんて教えているか知らないけど僕は信者たちにそう伝えてる。」


いまいち話がわからない。

俺が知らないことがあり過ぎるからか?


「この世界はギフトと呼ばれる能力を神から授けている。魔王だってそれは同じさ。魔王と魔物と呼ばれる連中は信仰という知的行為ができるにも関わらず、殺しをするんだよ。しかも定期的に一定の数をね。だけど、一人殺してしまえばその者から得られる信仰は無くなってしまう。だから神々の中では殺しをする邪神を滅ぼすという流れにになったんだ。そのためにはまずは信仰している魔王たちを倒す必要があるんだよ。」


俺は理解が追い付かなかった。

何か簡単な解決策があるような気がしたからだ。


「ミツハ様。テン君、準備ができましたよ。」

ミオが扉の外から声をかけてきたのでこの話は終わった。

「本当に大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だ。こいつならこの数ヶ月で乗りこなせたからな。」

「いや、そっちじゃなくて身体ですよ」

「まだ痛いけど、そのうち治るだろ。」

そう言うと小さな俺は虎ほどの大きさに育ったソイツの背中に乗せて貰ってた。


「さぁ、行くぞ!!ダップ!!」


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