第23話 サイ
「やぁ、少年。」
男は俺を見ながら目を擦る。
辺りを見回し、俺を見つめる。
「さっきあの少女と話してたのはキミなのか!!」
うん、そうだね。そこを驚くよね!!
なんせ見た目はミツハに成長させられたって言っても、5歳だからな。
「なんだよ、おっちゃん。話聞いてたんならわかるだろ。」
「いやいや、キミのような幼子が話していたなんて思わなかったよ。僕もまだまだだ。」
「で?おっちゃん、なんだよ。俺はあのデカブツ退治しないといけないの。」
「ほう?キミのような子供がなぜ?」
「なぜ?って魔王を倒すためにだよ。」
魔王の手先を倒せたからと言っても魔王が倒せるわけではないのは重々わかっている。
「なぜ魔王を倒そうとするんだ?キミのような子供が?」
「魔王は悪だ!!俺が倒さないといけないんだ!!」
「本当にそう思っているのかい?なぜ魔王が悪なんだい?それは君たちの神が示したからかい?」
俺は少し黙った。
悩んだわけではない。ウザいと久しぶりに、年甲斐もなく思ってしまったからだ。
だから真実を言うことにした。
「いや魔王を倒してチヤホヤされたいんだよ。察しろよ。おっちゃん、いい大人だろ?ガキでも大人でも生きる根元はカッコつけだろ?そんなこと言わせるなよ。」
まして俺は転生者でその権利があるはずなのだから当然だ。
男は目を真ん丸に見開いて驚いていた。
それはそうだろう。見た目5歳児が言うセリフじゃない。
「まるでキミは見た目は子供、頭脳は大人。縁の下の力持ち。知恵はあっても力は弱い。」
やめろ。その言い方。
「まぁ、良いだろう。キミはつまりは誰かに認めて貰いたいんだろう?」
「そうだ。ミオにもミツハにもだ。」
「ミツハ? あぁ、君たちの神の名前か?」
「あぁ、ミツハは神だ。」
「キミは様を付けないんだね。」
「まぁな、俺は無宗教だからな。」
「なるほど、それでキミへは水の杖を渡されてない。」
「たぶん、そのせいだろうな。」
「ほうほう。そんなキミにはまさに朗報。僕は商人。名前はサイ。水の杖はないけど、代わりにもっと良いものがある。」
そういうと、サイと名乗る男は俺の前にずらりと武器を並べてくれた。
ついに俺にも念願の武器を手に入れることになった。
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