第22話 発案


バカなことを言っていると頭を殴られた。

「魔王の手先だな。元は熊か?いつものようにテンは援護をしてくれ。」


俺は弓が下手だ。

引くことは出来ても的を射抜くことはできなかった。

だから援護と言っても鐘を鳴らし、敵の位置を男衆や警備している奴らに知らせるだけだ。

気付けばミオは時飛ばしを使い、魔王の手先に教われていた男を助けていた。


鳴らした警鐘を聞き、ミツハ神の誇る男衆数人が門の前へ弓を扱う巫女たちが矢倉の上へと集まる。


やることねーな

鐘叩くだけの主人公なんていねーんだよ

俺もたまには前線に出てみたいな……

指示を待っていたら出世は出来ない。

ゲームでも敵を倒さないと経験値は手に入らない。

ナイフは持った。

よし、行くか!!


魔王の手先には刃が通らない。

ミオと男衆たちが魔王の手先の触手を切り落とすことは出来ても、体には刃は弾かれるようだった。


こういう時に転生者である俺の知識をフル活用しなくては

ミツハは水と時間の神だ。

風呂を覗いた時に水を操って俺を気絶出来たのはそのためだ。

時飛ばしの方が強いから男衆たちに分け与えてはいるが、魔王の手先にはあまり意味がない。

「おい、ミオ!!お前水は操れないのか?」

一瞬で場面が切り替わる。

ミオの時飛ばしで俺は助けた男の近くに置かれた。

「なんで来たんですか?テン君?」

ヤバい。説教モードだ。

「説教は後で聞く!!ミオは水を操れないのか?刀の効かないあいつを倒せるかもしれないんだ!!」

俺の熱心さが伝わったのか、ミオはため息をして説明する。

「ミツハ様は水の神です。私たちにも生活の品としてこの水の杖を頂いてます。」

そういうと、そこらで拾ったような木の棒をミオは俺に見せてくれる。

水の杖?それで操れるのか?

「ミオ!!それであいつを溺死させれないのか?」

ミオは一瞬悩んだように見えた。

「この杖は簡単な水の移動が出来るようになるのですが、近くの水でも引いてくるのには時間も労力もかかります。何より致命傷を与えられず、押されているように見えているかもしれませんが、魔王の手下の触手を切り、少しずつ弱ってきています。何よりミツハ様は杖を生活用品として私たちに授けています。それを殺しの道具にするなんて悲しみますよ!!」


くそー

ミオめ!!

いや、ミツハめ!!

俺にもその杖が使えたら転生者の発想力で敵を倒してやるのに!!


「話は聞きましたよ。」

保護されていた男が口を開いた。

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