第14話 ニート

歓声が上がるが俺からしたらそれどころではない。

「ふざけんな!!!殺す気か!!『ありがとう』なんて……」

俺はその時声が出ていることに気付いた。


手が長い、足も長い、そしてもしかして……


立てる!!


そこには仁王立ちした、俺とそれを遥か上から見下すミツハの姿があった。


「いやいやいや、この身体何歳だよ!!」

「5歳くらいかな?」

歓声で耳が痛くなるが、俺の身体は成長していた。


その後はどうということはない。

また何やらミツハはスピーチをし、俺は部屋へと軟禁された。


手が動く、足が動く。なんと楽しいことだ。

そしてこの身体にとって軟禁された部屋は走り回るのにちょうど良かった。

俺は決意した。

「一生ここに住もう。」

手が動く、足も動く。早く成長させてくれた。

ミツハが神なのもわかった。

なにもしなくても飯が出てくる。

オカンやダップは近くで飼われている。


今のところ俺の不満は解決された。

神への恨みなどない。

これからはここで異世界転生の王道、神童扱いを受けながらサクセスストーリーを気付くのだ。

サバイバル生活なんて真っ平だ。

「俺はニートになる!!!」

高々とそう宣言し、今日は寝た。



「おい、起きろ。転生者くん。」

「あ、ミツハ」

俺は半分寝ぼけていた。

「ミツハ様だ。馬鹿者。」

そうすぐに指摘するのは当然のようにミツハの隣に控えるミオであった。

「バカ女」

「それは私のことか!?」

おれは眠いのだ。子供相手にするなら後少し眠らせてくれ。というか、幼児を起こすな。虐待で訴えるぞ。

「ミツハ様、この子こんなに口が悪かったんですね。奇跡を授ける必要ありましたか?」

「まぁ、転生者だから僕たちの常識じゃ語れないことも多いよ。」

俺は警戒を怠らない。

重い瞼はゆっくりと

少なくとも三食昼寝付きが約束されるまでは警戒しなくてはならない。

なぜなら転生者だとわかって、俺を5歳くらいまで成長させたのだ。

ここからの流れなんて大体わかる。


「転生者くん。僕は君に魔王を倒してほしい。」




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