第13話 奇跡
ミツハは自身を神と認めた。
彼女は水瓶で手を洗い、俺の頭を掴む。
頭が痛くなる。握り締められたからというよりは何かが頭に流れてくるような感じ。
「ミツハ様、加護をお与えになられたんですか?」
「まぁ、加護なんて程のものではないかな。いつもの奇跡、神の、いや僕の気まぐれさ。」
その言葉を聞くと意識が遠退く。
俺は意識を戻すと祭壇で目が覚めた。
何やら太鼓や笛やらの音が鳴り響く。
縁日か?
何やら変な匂いもする。
ここで必殺、泣けばなんとかなる作戦を実施したが意味はなかった。
そもそも音がうるさすぎて、泣き声が聞こえてないんだろう。仕方ないので諦め、とりあえずは現状把握。
音が急に止む。
しばらくすると俺の身体は持ち上げられ水に沈められる。
急なことで息継ぎすら出来なかった。
短い手足では抗うこともできない。
殺される。
身体に痛みが走り、腕も、足も、首も、身体全てへが痛みを伝わる。
手足が落とされた容器の縁に当たり、それが倒れることで水から逃れた。
慌てて逃げる俺は、自分が倒したそれが大鍋であったことに気付き、察した。
食われる!!!
歓声が上がり、拍手すら聞こえる。
わからない。
何が起こった?
赤ん坊を食うのか、この人たちは???
目の前に立っている女神ミツハと目が合い、全て理解する。
こいつら赤ん坊を生け贄にしやがった!!
全て理解した。
「この外道どもが!!!!」
俺の言葉をがこだました。
腰が抜けて立てないが、声で威嚇することは出きた。
「これは僕の奇跡だよ。その無礼な台詞は忘れるけど、まずは『ありがとうございます』が先じゃないかな。転生者くん。」
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