第12話 希望
ミオの愚行は当然のように巫女とミツハに止められた。
というか、普通にその行為を見た奴ら全員がドン引きしてた。
ちなみに俺は泣き止んで放心状態だった。
そして、そのままミツハ神に抱き抱えながら、俺は民たちの前に出された。
「民よ、此度の遠征、君たちのおかげで僕の泉に入った侵略者を討伐することができた。毛皮は衣となり、牙は武器となる。この村のために行商へ出すのも良いだろう。――」
酒に酔いながらもミツハの声は民へと伝わる。
「さて、皆も知っての通り今回の戦利品には数匹の犬と人間の赤子が1人いる。犬は賢い。殺さずこの村の防衛を担う戦士とし、そしてこの子は僕の信者とする。」
歓声が上がるのを見ると、このミツハ神への信仰は強いのだろう。普通に犬に育てられた子供なんて気味が悪いと言うものではないのだろうか?
その後俺は俺専用の部屋を用意され、重宝された。
ベビーシッター付きの巫女をつけ、寝床はふかふかの毛皮を敷き詰めてくれる。
食事をどうするだの、オムツにより良いものを使うべきだの会話が聞こえる。
これは勝った!!
今までの地獄が、ハードモードが嘘のようだ。
イージーモード突入!!無敵状態!!
だが、そんなのは長くは続かなかった。
長くはというか、全てが計画で頓挫した。
「ミツハ様より伝令だ。世話は不要とのことだ。今宵は祝いの席、巫女も宴に参加せよ。奇跡を与える。」
「ミオ様それではそれまでにこの子の世話は誰がされるのですか?」
「私がやる。それほど丁重に扱う必要があるとのことだ。」
赤ん坊の金玉を潰すバカ女が世話なんて出きるわけないので俺は大泣きをしてやった。
絶対に泣き止まないつもりだったが、ミオは無理矢理にでも巫女を部屋の外に追いやった。
「ミツハ様、人払いはできております。どうか顕現を」
部屋の中には誰もいない。
「ご苦労様。信徒たちは私が現れるといちいち面倒だからね。ミオにこうして人払いをさせているんだ。」
またミツハ神はどこからともなく現れる。
さすがの俺も泣き止むしかなかった。
「さて、転生者くん。改めまして僕はミツハ。この村の神だ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます