第9話 何がどうしてこうなった

俺はいつの間にか寝た。

そして気付けば巣に戻っていた。

オカンとダップ、他の兄弟たちは寝静まっている。

俺は巣から抜け出すと、巣の前には俺を泉へ投げた大犬がいた。


やっとここで俺はここ大犬がオカンの旦那、つまりはダップたちのオトンということに気づいた。

オトンはボスだった。巣の外には同じような巣穴がありオス犬は縄張りの見張りをしているようだった。


夜のうちに外に出ようとするとオトンから吠えられ、咥えられ元に戻される。

犬畜生め、俺は泉に用があるんだ。

あぁ、何とかしてあの泉に行ければ神へとつながる道に繋がると思うんだよな……

あんなの神の力としか思えない。

神に会えたら俺は神を汚す。

糞尿垂れ流しの恥辱、吐瀉物を喰わされた屈辱……

全て返してやるぞ。クソ神め!!


俺が回復の泉を知ってから3日ほど経った。

まだ、回復の泉には行けていない。

身体をわざと傷つけても、連れてはいかない。

死の危険があるレベルでないと連れていってくれないのだろうか?

しかし、万が一助けられないことがあれば死ぬ。

死ぬの覚悟はあるけど。わざわざ回復の泉を探すために死のリスクってのは割に合わない。


夜明け前、俺はまた目覚めていた。

昼過ぎから回りの犬たちが騒がしいのだ。

まだ明るいうちから子犬たちは巣に押し込められ、オカンも外に出ようとするとオトンから吠えられる。

オトンの発情期ってわけでは無さそうだった。


夜明け前から嫌な臭いがする。便臭というか火薬のような、養豚場の近くのような、とにかく不快なのだ。

そして破裂音が数発鳴ったかと思うと、甲高い音が聞こえ

外が騒がしくなったかと思えば、巣穴は煙で満たされる。

外から熊のような毛皮を被ってはいたが、紛れもなく人が俺たちの巣へ入ってきたことを薄れ行く意識のなか記憶に刻んだ。



目が覚めると俺は見慣れない天井があった。

気分は最悪。そして遅れてやってくる不安感。

これはアレだ。飲み会で死ぬほど酒を飲んだ時と同じだ。

状況がわかんねー

何が起こった?

こういう時にやることは1つだけだ。

「おんぎゃぃぃあ!!!」

泣けば大抵のことは大丈夫なはず!!!



「ふふ。転生者とは面白い。」



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