第7話 名犬ダップ

俺は顔を舐められて目が覚めた。

ダップがいた。

確かダップに落とされて……その後気を失ったのか!?

このクソ犬が!!!!危ねぇだろうが!!!そう思ったがそれよりも現状把握だ。

周りを見渡すと犬、犬、犬……

黒犬の群れである。詳しくはないがほぼ雑種。

何なの!?

よく見ると口周りが血まみれの奴もいる。

そしてその血は先ほどの親鳥ということが、鳥の羽が散っていることや俺たちが今無事なことが証明なのだろう。

俺とダップはこの犬たちに助けられたのだ。

空中で受け止めたと思われ、身体の至るところに傷があり、恐らく木の枝で引っ掻いたもの以外に、犬の牙によるものも含まれる。

何より俺の身体がが唾液臭い。ダップが舐めたものかもしれないが、何にせよムッチャ臭い。


これはアレだ。俺の中の転生者特典に違いない。

犬の王とかかな? テイマー系能力者かな?

赤ん坊サイズで見ると怖いなぁ

当然だが、オカンよりデカイ。その気になれば俺なんて丸のみにできるだろう。


しかしなぜ、俺たちを見つけることができたのか?

誰も説明してくれない。所詮は犬である。

俺たちの臭いでも追いかけてくれたのだろう。

空を飛んでたのに臭いなんてわかるものなのか???


ダップが尻尾を振り、俺を舐め回すので撫で返してやった。ムッチャ尻尾を振っている。やはり今までは怯えていたのだろう。犬は話せなくとも見た目で、わかるからありがたい。


いや、考えたくない。俺は尻尾を振るダップを見て気付くことがあった。まさか、ダップ……お前の失禁、脱糞ってコイツらのためのマーキングだったのか!?

確か、捕まれてすぐ失禁してたし、途中もチョロチョロしてたし、巣が近くになってからもしてたな。

俺なんかよりも全然冷静に対応してやがったのか!?

子犬ごときが!?畜生ごときが!?

なにより、この犬たちは俺の能力によるものじゃないのか……

この尻尾の振り方は、自分の戦術がはまったことに対しての安堵と喜びからなのか!?

そんなわけないと思うが、とりあえず誉めてやる。腹を撫でてやるから、ゴロンとしなさい。


犬は見える範囲で6匹。ダップがいるから7匹か。

一番デカイやつは周りの奴より、さらに一回り以上大きい。

そしてその中の一匹が俺を目の前から噛みつきやがった。

痛いなんてものじゃない。

柔らかい俺の肩からは温かく血が吹き出す。

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