第2話 新たなる保護者

目が覚めた。

さあ、神よ。キリングタイムの始まりだぜ。

汚物にまみれる準備はできているな。

この世のすべてが許しても、俺がお前を許さない。

鬼に代わって悪をな……


オムツは失くなっていたようだ。

そして、口元に感じるこれは乳首だと気づいた。

まだ死んではいなかった。


俺はがむしゃらに吸い付くした。腹が一杯になるまで。

どうやら俺は助けられたようだ。

この犬に。

いや、犬かよ!!

仕方ない。俺は俺を太陽と名乗ることにしよう。

いや、生前の名前だから。深い意味はないよ。

だって、この犬たぶんコーギーだぜ。白いけど大犬とかじゃないよ。

1ヶ月位ほぼ動かない生活をし、そのすべての世話をコーギーに託した。

俺はこの犬、名はないようだったのでオカンと呼ぶことにした。

オカンには子供がおり、俺と共にその子を育ててくれた。

ちなみに兄弟は黒い毛皮のコーギーだった。

つまりは父親は黒い犬である。

ハスキーとか、黒柴とかか?


いつまでも犬に頼っていてはいけない。

俺は生後1ヶ月だったが、自立の意思があった。

だが、俺は焦っていた。

乳離れの時期が犬と人とでは異なるはずだからだ。

俺は生前赤ん坊の世話などしたことない。

だか、そんな俺でも赤ん坊が乳離れをする必要があることは知っている。

犬に限らず人以外の哺乳類は歩行までは直ぐだし、乳離れもすぐのはずだ。

なんなら兄弟たちの多くは、姿を見たことない父親が狩ってくる獲物の肉を食べている。

兄弟たちの成長は早い。もうすでに成犬とすら思える奴も出てくる。

犬の成長がこんなにも早いとは思ってもいなかった。


ヤバい。肉が食いたいのに……

歯がない。

いや、乳歯が少し生えているが、肉は食べれるほどのレベルではない。

生後1ヶ月で何ができる。

クソ、俺だけ何でこんなに辛いんだ……

異世界転生っていったら転生者特典だろ。

普通は生前の姿だろ。

両方ともないって何でだよ。


嘆いても、その嘆きは誰にも届かなかった。

そして、恐れていたことが起こった。

オカンの母乳がでなくなった。

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