異世界転生したけど、たぶん俺だけハードモード

工藤 隆久

第1話 異世界転生したは良いが...

テンプルの如く異世界転生した。

トラックに跳ねられ、死んで、気がついたら異世界だった。

そこまでは良い。

正直、前世にそんなに強い思い入れはない。

俺にも非がある。居眠り運転のトラックに気付けなかったのは俺の油断もある。あるか?

まぁ、そこは良い、許そう。

だか、待て。もし、神がいるのなら。


俺は人に転生した。

ドラゴンでも、スライムでも、蜘蛛でもなく、人だ。


おそらく貧しいのだろう。

子供を養えなかったのかもしれない。

俺は生後2週間程度で捨てられたのだ。

それは泣いた。享年は32のおっさんだったが大泣きした。なんなら小便も漏らした。

しかたないじゃん。俺、生後2週間だもん。新生児だもん。目なんてほとんど見えないんだぜ。もう雰囲気よ。母だか父だかわかんない人の腕の中で寝てただけ。何か声が聞こえたから目を開けたけど、ほぼ見えない。

しかも真っ暗なの。夜中なの。

籠に容れられて人気が失くなって気付いたね。

あ、捨てられた……って

「ええぇええええあぁ、あぁあぁあああ(ぁあ)」

言葉は話せない。喃語以下の言葉が周囲へと響き渡る。

いや、親からしたら悲しくて泣いてたって思われたかもしれないけど、違うよ。

「いやー置いてかないで、マミー、パピー(泣)」って。嫌々そんなわけないじゃん。

もう一度言うけど、俺32歳よ。

「待ていぇええええい、この糞ヤローども(怒)」だよ。


おい、神、たぶんドジでバカな女神。

ともかく担当者出てこい。

初っぱなで詰んだぞ。

たぶん転生者の中で一番サバイバル環境だぞ。

ふざけんな!!!

誰か助けて下さい!!!

とりあえず、オムツ替えてください!!!

神様!!!下半身から熱が奪われちゃいます!!!

ヘルプ ミー、ヘイ!!!ゴッド!!!コール911!!


俺の心の叫びは届かなかった。

20分もすれば俺が思った通り、下半身から気化熱により冷えていった。

そして俺は諦めた。どうせ死んだ命だ。2週間のロスタイムをもらったと思おう。

2週間。赤ちゃんプレイという恥辱を受けたのだと。

死んだら神にも会えるはずだ。

文句をちゃんと言おう。

そして、担当した神には同等の恥辱を与えよう。

神よ、俺はあなたに誓う。死んだら必ず復讐すると。

トイレの神様がえんがちょしたくなるくらい。汚すと。

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