第33話 約束は大切な人を守りたい時だけ破れ7

そして放課後、俺は例の三人を引き連れてサンドラのもとを訪れると、サンドラは満足したような笑みを浮かべた。




「よくやったわ。これで新しい部が設立できるわ。でも一つ問題があるのよねぇ」


「ほかに何が問題あるっていうんだ。お前の言った通り部員も集めてきただろ?」


「いや、まだ何をするか決まってないのよ」


ここでお笑い芸人だったらずっこけるんだろう。


だが俺たち高校生はしない。


なぜなら俺たちは笑いを取るために生まれてきたわけではないからだ。


しかし横を見るとエマさんがずっこけた姿勢でいた。


「あれ?ここはこうやるものじゃないんですか?」


エマさんは少しおどおどしながら俺たちを見回す。


「いや、それが正しいわ!あんたたちもこれを見習いなさい!」


正義執行人のサンドラにとってはそれが正しいらしかった。


なぜ俺がとがめられているのかはともかく、エマさんの内情をそれとなく知れてしまった俺であった。




「正しい?そうね…そうだわ!私たちの部では正義を執行することにするわ!名前は正義部!いい案でしょ?」


俺以外の三人はうなずいていた。


俺もあきれながらではあるものの同調圧力に押されて頷くのだった。




にしても正義部って。


また多くの生徒から奇異の眼で見られそうだ。


俺は未来にそこはかとない不安を抱くのだった。

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