第13話 野次馬だって当事者です5
入学式の時間となった。
各々で座りたい場所に座るため、中学からの同級生がいるやつらはまとまって座っているようだった。
俺も中学からの幼馴染の蘭と一緒に座りたかったのだが、この広大な体育館の中から目当ての人物を探し出すのは困難を極め、結局一人で座ることにした。
だだっ広い体育館は緊張を弛緩させるようなものではなく、むしろその厳格さや広さに緊張をするものだった。
入学式の会場5分前となり、多くの人が集まって若干の喧騒が起こり、あたりにはこれからの高校生活に対する期待と不安が渦巻いていた。
学校の先生と思しき人物が壇上に上がった。
その瞬間、喧噪はどこかに消え去り、代わりに緊張が走った。
「ええ、これから入学式を始めます。全員起立!」
「礼!」
皆は一斉に立ち上がり礼をした。
会場の支配権は壇下の進行役とみられる先生に受け継がれたようだった。
「では次に校長からの祝辞です。校長先生、お願いします…」
そして、俺の入学式のあいさつの番となった。
俺は入学時に首席で入り、そのため入学式の挨拶を任された。
「では、次に入学式のあいさつです。シン・ヒイラギ、よろしくお願いします。」
「はい!」
俺は壇上へ行くまでの間、羨望の目を目いっぱいに受けた。
そんな視線をひしひしと感じながらマイクの前で一礼をし、話始めた。
「暖かなる春の訪れとともにこのユクドニア国立北コルロ高校に入学できたことを大変うれしく思います。
本日はこのような素晴らしい入学式を開いていただき、ありがとうございます。
高校での3年間の生活がこれから始まるということで、期待と不安が入り混じっていますが、先生方や先輩方にいろんなことを教えてもらいながら、毎日を悔いのないよう過ごしていきたいです。
勉学、部活動、行事。
何事も一生懸命、全力で取り組んでいきたいと思っています。
先生方、先輩方、並びに来賓の皆様。
私たちへの励ましのお言葉をありがとうございました。
これから温かくも厳しいご指導のほど、よろしくお願いいたします。
○○年 4月10日
新入生代表 柊真 」
うむ、結構テンプレっぽいがいいだろう。
そして俺はマイクの前で一礼をし、元の席へ帰っていった。
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