第8話 後悔先に立たず8
それから数日して、合格発表日となった。
その間は家に帰っていたのだが、実技試験を思い出し、ドキドキしていた。
だって的ごと吹き飛ばしちゃったからな。
それのせいで不合格になんてなったらどうしよう。
そして家に北コルロ高校からの書類が届いた。
俺はドキドキしながら開いた。
結果から言おう。
結果は合格だった。
しかも首席でだ。
封筒の中身には入学式のあいさつをお願いする書類も同封されていた。
親にそのことを伝えると感極まって涙を流していた。
「それじゃ、寮を借りないとね。」
ひとしきり涙を流し、落ち着いた母親が言った。
「寮を借りるには…この書類にサインすればいいのか?」
父親が言う。
「じゃ、入学式のあいさつは俺のほうで考えておくから寮とかその辺は全部任せるよ。」
俺はそういい自分の部屋へ戻った。
その部屋には喜びで胸を占め、ベッドの上で体を悶えさせている一人の少年がいた。
そう、俺である。
的は吹き飛ばしたものの十中八九受かるだろうと踏んでいた俺もこの知らせが実はうれしかったのだ。
魔術に関しては前世の記憶で何とかなったものの、数学と国語に関してはそれなりに努力を要した。
その努力をこの合格を機に認められた気がしてうれしかったのだ。
しかも首席で合格である。
これは大いに認められたといっても過言ではない。
しばらくそのままベッドの上で体を悶えさせ続けていた俺は「よし、入学式のあいさつだ」と気持ちを切り替えたのであった。
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