欲望が透ける小説

 例えばチート系。ハーレム。陰キャな俺がクラスの可愛い女の子に好かれて?!もしくはオタクくんに優しいギャル。


 小説には、作者の欲望というものが少し表れている部分があるのではないかと思うことがよくある。そしてその欲望を生々しく感じてしまったとき、私は酷い不快感を覚える。割と吐きたくなる。ざまあ系もあんまり読めない。

 なぜだろうか?……私はこの理由がわからない。私が酷く”拗らせた”女子なのは確かである。

 しかし一方で、作者の欲望が丸出しであるのにほぼ不快感を覚えない本たちがある。そう、あの文豪・谷崎潤一郎の本たちである。

 なぜ?

 谷崎潤一郎は、サディスティックな美少女に踏まれたい、なじられたい、そんな欲がダダ漏れである。特に、美しい脚へのこだわりは凄まじい。客観的に見てもかなりアレな欲望のはずだ。

 谷崎潤一郎は自分の欲望を、高い描写力をもって美しく彩っているのである。彼の小説は耽美小説と呼ばれることもある。

 しかし一方で、「サディスティックな美少女にいじめられたい」という欲望の他に、もう一つの欲望が垣間見えるときがある。

 「美少女を、サディスティックな美少女に仕立て上げ、自分が裏では支配したい」という欲望である。「春琴抄」や「痴人の愛」などは、この傾向が強いのではないかと個人的には考えている。

 これにふっと気づいたときはちょっと無理だった!マジでなんなんだろうか

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る