第10話 中間試験

 アカデミーの中間試験がはじまった。


 試験は基本7教科に加え、選択科目3教科の計10教科。成績は、全員が順位と共に掲示板に張り出される。


 ミリアは選択科目として、ラテン語と魔法理論及び魔法実技・錬金術をとっている。

 ミリアは部活に入っていないが、試験1週間前からは、部活と校内の居残り禁止。図書室も使えない。


 授業が終わり図書室が使えないので、仕方なく寮の自室に戻る。翌日分の試験勉強を済ませると、時間が余ってしまった。


(どうしよう。ちょっとだけ、行ってみようかな)


 【ワープ】


 禁忌の書庫にやってきた。


 【ライト】をつけ、棚を順番に確認していく。

(確か、初めてここに来た時に見かけたから、入り口の方?)


 ミリアが探しているのは、《魅了》について書かれている本。


「あった、隷属魔法と魅了。これって同じグループになるのかな?」


 本を持ち出す勇気はないので、ミリアは床に座り込んで読み始めた。


 深夜、静まりかえった禁忌の書物庫。時折、本が立てるガタガタと言う音や、唸り声が聞こえる。ミリアは全く気付く事なく、本を読み続けた。



 朝方部屋に戻ったミリアは、ステータスウィンドウを開いてみた。


(やっぱり、《状態異常耐性》のレベルが上がってる)


 アカデミー内では、常にシールドをかけている。時折、今まで感じた事のない力を感知するようになった。鑑定すると、【魅了】とでた。

 誰が使っているのかはっきりしていないが、もしかしたら。


 アカデミー内は、実習以外での攻撃魔法は禁止されている。魅了は状態異常のひとつとも言えるので、禁止の範囲に含まれていないのだろう。若しくは魔道具によるものかも。


 どちらにしろ、使ったことがわかれば、その時点で罪に問われる。退学だけでは済まされない。


 魅了にかかっている生徒は、鑑定すれば分かるのかもしれない。学長かシーモア先生に相談してみようか。


(鑑定って、人も出来るんだっけ)

(シーモア先生ねぇ、ちょっと怖いんだよね)



 今日の試験は、午前が修辞学・天文学・幾何学で、午後はラテン語。

 2日目は、午前が論理学・数学・音楽で、午後は錬成術の筆記と実技。

 3日目は、午前が文法と幾何学で、午後は休み。

 4日目に魔法理論と魔法実技がある。



 今日の試験の中で、1番苦手なのは幾何学だろうか? 後でもう一度見直しをしようと心に決めた。



 4日間の試験が無事終了した。全力を出し切れたかはともかく、手応えはあった気がする。明日からは3日間の試験休みになる。


 図書室が使える様になるので、かなりご機嫌なミリアだった。

 

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