第11話 試験結果

 中間試験の結果が張り出された。


 ミリアが登校し掲示板を見に行くと、まるでモーセのように人混みが左右に分かれていく。


 1位 ミリア・オルグレン  997

 2位 ライリー・クレメンス 992

 3位 ビクター・オズワルド 978

 4位 リチャード・ミューラー956

  :

 21位 ジャック・スタンレー 894

  :

  :

 52位 グレース・オルグレン 531

  :


「オルグレンだよ」

「またぁ?」

「ほぼ満点じゃん」

「ライリー殿下だって」

「今回もって事?」

「アーティファクト?」



 ライリーがミリアに声をかけた。

「おめでとう。今回もオルグレンさんに負けたよ。次は1位を狙うから宜しく」

 ライリーが右手を差し出して、ミリアと握手する。

「ありがとうございます。次も頑張ります」


「図々しいわよね」

「次も、アーティファクトでしょう?」



 アカデミーでは、状況は悪化の一途を辿っている。


「お家でグレース様を虐めていたんですって」

「宝石とか盗んだって」

「気に入らないと、叩いたり蹴ったり」

「手に負えないから、寮に追い出されたって」



 学校内では常にシールドをかけ、広い道を選んで歩く。荷物はいつでも全て持ち歩く。



 ミリアが朝登校すると、机に落書きがされている。【クリーン】 で消した。


 次の授業は教室移動。目を話した隙に、何度も教科書やノートを破られたので、荷物を全て鞄に入れて移動する。


 お昼に売店に行こうとしたら、上から植木鉢が落ちてきた。シールドで怪我はなかったが、周りはゴミだらけになった。【クリーン】 で、片付ける。


 朝登校したら、机と椅子が無くなっていた。土魔法で【クリエイト】 机と椅子を作る。


 放課後、図書室に行こうとすると、水を浴びせられたり、突然足元の落ち葉が燃え始めたり。どちらも凍らせた。



 グレースは、側近候補達をうまく丸め込んでいるようで、噂の出所はその辺りらしい。


 ミリアは殆ど気にしていないが、実習の時間だけは寂しい思いをしていた。今日も午後は、魔法実習がある。



「今日は魔法対戦を行います。3人までならグループを組んでも構いません。1人が良い、若しくは自信がある人は自由です。各自の得意不得意を考慮して、グループを作る事。

5分後、対戦を開始します」


 担当教官のワドル先生が、時計を確認する。ミリアは勿論1人だが、対戦相手がいるのか不安になる。


(まあ、なるようになるわよね)


「それでは2列に並んで、対戦相手は籤引きで決めます」


「えー、ライリー様んとこと当たったら、負け決定じゃん」

「ミューラー様もヤバいし」


 ライリーが手を挙げた。

「先生、オルグレンさんと対戦したいのですが」

「オルグレン、どうしますか?」

「・・はい」



 ライリー&リチャード・ミューラーVSミリア開戦。

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