第4話 ステータス

旦那様ジョージ・オルグレンは?」


「あなたが成人して、侯爵になるまでの代理人と言う所ですね」



「さて、話を戻しましょう。ミリアは自分のステータスを見たことは?」

「ありません」

「では、見てご覧なさい。ステータス・オープンと言えば見れます」


「ステータス・オープン?」



 ミリア・オルグレン

 性別 女性

 種族 人間

 年齢 12歳

 称号 貴族、下級メイド、学生

 状態 栄養不足

 LV  35

 HP  92

 MP  ♾


 属性 ALL


 スキル

  《打撃耐性》《衝撃耐性》

  《状態異常無効》《毒耐性》

  《疲労耐性》《睡魔耐性》

  《防御》《身体強化》

 レアスキル  

  《体力回復上昇》

  《魔力回復上昇》

  《技能習得率上昇》

  《攻撃力上昇》

  《防御力上昇》

  《鑑定/解析》《空間転移》

  《隠蔽》《収納》

  《付与術》《錬金術》

  《従属士》

 エクストラスキル

  《女神の愛し子》

  《限界突破》

  《詠唱破棄》

 特性

  《虐げられし者》

  《不屈の精神》



「・・何だかいっぱい出てきました」


 ワドル先生の顎が落ちた。


「通常、使用できる属性は1つか2つが一般的です。ごく希に3つの人がいますが」

「はあ」


「現在、雷属性を持っている人はいません」

「?」

「失われた属性と言われています」


「あなたのスキルは、ツッコミどころが多すぎて何を言えば良いのか悩みますが。

エクストラスキルのそれらは、全て伝説と言われているものです」


「あの、なんでこんな事になったんでしょうか?」


 困惑するミリアと、苦笑いする学長。


「多分、エクストラスキル《女神の愛し子》の影響ではないかしら。どうやって魔法を覚えたの?」

「必要に迫られて色々と・・」



 学長との話し合いの結果、アカデミー内では


“使用する属性を、雷以外の2つか3つに限定する”

“詠唱しているように見せかける”

“ステータスは人に見せない、話さない”


以上3点が決められた。



 寮の自室。学長室から戻ってきたミリアは、未だ放心状態。

 もう一度、ステータスをオープンした。


(打撃耐性とか睡眠耐性とかは、わかる気がする。毒耐性も)



(取り敢えずこれからどうしよう)


 ソファで寝落ちしたミリアだった。



 翌朝、日の出と共に目覚めたミリアは、大慌てで宿題をやっている。朝食を諦めて、なんとか終わらせることができた。


 授業開始ギリギリに教室に駆け込むと、昨日より益々教室の雰囲気が悪い。


「おはようございます」


 静まりかえった教室の中、誰も返事をしない。暫くしてライリー殿下が話しかけてきた。


「おはよう、昨日の魔法実習の授業。凄かったね。あれは何の属性魔法だったんだい?」

「氷・・です」


 横から、側近候補の1人ビクター・オズワルドが質問してくる。

「詠唱してなかったよね」

「いえ、早口で」


 別の側近候補リチャード・ミューラーが、

「ほんとに? 全然そうは見えなかったけど?」

「・・本当です」


 教室の奥の方から、色々な声が聞こえてくる。

「嘘ばっかり」

「またアーティファクト?」

「詐欺師」


 ライリー殿下が何か言いかけた時、シーモア先生が教室に入ってきた。シーモア先生は、ミリア達をチラッと見た後、

「ほら、さっさと席に着け。HRを始めるぞ」



 今日は3時限目から錬金術の授業で、午後は実習がある。今日も不安いっぱいのミリアだった。

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