第11話 その後のオスカー(エピローグ オスカー編)俯瞰視点(1)
「今回の件は、非常に大きな過ちだった。だが……。そういった事を経験した事によって、僕は真実に気付けた」
公衆の面前での大ゲンカと婚約撤回が起きた日から、5日後。メリッサがヴィラフェル修道院へと旅立った、その翌昼のことでした。
オスカーは自室で服を着替え、外出の準備を整えていました。
「? 我が主? 現在は、謹慎中となっておりますよ……? 何をされるおつもりなのですか……?」
幾つものあまりにも身勝手な行動によって、オスカーは無期限での自宅謹慎を命じられていました。そのため呼び出されたハルクは、大きく戸惑い眉間には皺が刻まれました。
「しかもそちらは、一張羅……。どうなさるおつもりなのですか?」
「決まっているだろう。ヴィクトリアに謝罪を行い、ヨリを戻してもらいに行くのだよ」
「そうでしたかっ。ノエマイン様に謝罪をされて――………………は……? ヨリを、戻してもらいに行く……?」
前者は納得できましたが、後者はまるで納得できませんでした。
ヨリを戻しに行く?――。いったい何を仰っているんだ?――。たまらず固まってしま
っていると、オスカーは南南東を――ノエマイン邸がある方角を、一瞥しました。
「ついこの間まで、僕らは相思相愛だった。確かに、愛し合っていたんだ。ならば判断ミスを悔やみ心から彼女に頭を下げ、『やはり君が世界で一番だ』と――。今の気持ちを告げれば、関係は修復できるのだよ」
「………………………………。わ、我が主……。そ、それは、いくらなんでも――」
「僕はヴィクトリアを間近で見てきた。彼女は、そういう人間なのさ。あの愚妹、メリッサと違ってね」
ヴィクトリアは包容力があり、相手に合わせることができる女性。あやまちを許せる女性。
そういった部分が
「で、ですが……。いつまでもそうとは、限りませんし……。そもそも勝手に外出をされると、旦那様達に――」
「父さんと母さんは外出中だ、問題はない。関係修復を手土産にすれば、無断行動もきっと許されるさ」
彼は大きく頷き、ハルクは止めようとしましたが――止めても行くと言い出したため、しぶしぶ承諾。そうしてオスカーは馬車に乗り込みノエマイン邸を目指しましたが、それから約40分後。目的地に着いた彼は、そこで信じられない光景を目にすることになるのでした。
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