第9話 楽しいはずの時間は、悪い一面によって台無しとなってゆく 俯瞰視点(5)
「いちいち間延びさせたり『ぁ』とか『ぅ』を多用したりするせいで、聞くたびに鳥肌が立つんだよ!! ハッキリと喋れないのか!?」
「これがあたしの喋り方なのっ!! 個性を潰そ~とするなんて滅茶苦茶っ!! やっぱり顔がブスな人は心までブスなんだっ!! ダブルブス、きもっ!」
「だったらそっちは僕以上のブスだな!! 先に暴言を吐いたのは、お前の方!! 先に暴言を吐くのは、この場で一番ブスの証だっ! ははっ、自らで証明したというわけだなっ!!」
オスカーとメリッサの言い合いは、更にヒートアップ。周囲にできている人だかりに気付かない程になっており、今にも相手に掴みかかりそうな勢いで睨み合います。
――これは2人にとって、相手から初めて受けた暴言――。
そういった部分も燃料となってしまい、怒りの炎は大炎上。目の前にいる人はすっかり、ムカつくヤツ、という認識になっていたのでした。
「ぷっ、この人ってば何言ってるのかな~? あたしのは、正論だも~んっ! ダブルブスはそ~ゆ~違いも分からないんだ~っ。オスカーさん、ごめんなさ~い。ダブルブスには難しいコトを言っちゃいました~」
「ああ、なるほど。そうか。真のバカは、自分がバカだと気付かないらしい。実に哀れだな」
「うんうん、そだね。だからオスカーさんは、ダブルブスって気付かないんだよねぇ。そんなコトにも気付けないなんて、かわいそ~。よちよち、元気を出してくだちゃいね~」
「僕からの言葉をついに処理できなくなり、幼児退行してしまったのか。可哀想に。よしよし、元気を出すんだぞ」
2人は嘲笑を浮かべながら相手の頭を優しく撫で、その直後でした――。
プツリ。
ハラハラしながら見守っていたハルクとリーンは、そんな音が聞こえたような気がしました。
この音とは、2人が完全にキレた音。
『相手にはしてもいいけど、自分がされるのは許せない』。今の2人にはそんな考えがあり、そのため――
「バカにするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 許さないっ! ぜ~ったいに許さないんだからぁっ!!」「バカにしやがって!! もう我慢の限界だぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!」
メリッサとオスカーは、同じタイミングで大絶叫。一触即発だった2人は、ついに胸倉を掴み合いました。
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