第8話 一つ見えたら次々と見え始める、嫌な一面~悩む従者たち~ 俯瞰視点(2)
「? ハルク? どうしたんだ?」「??? リーン、急にどうしたの?」
「よかった。御一緒だったのですね」
「メリッサお嬢様、ルーエンス様。わたくし共より、提案がございます」
それぞれの主は丁度、リビングスペースでぼんやりとしているところでした。そのため別々に動いていたハルクとリーンは横並びとなり、用意していた台詞を発することにしました。
「??? 提案? なんなんだ?」「??? 提案って、なんなのぉ?」
「「今日から3日後は、朝からお暇ですよね? そこで3日後の土曜はお二人で街へとお出かけになられ、一緒にお買い物をされてはいかがでしょうかっっ?」」
2人が共同で作り上げたものは、『2人ともが好きなことをさせて、相手の良い面をみつけちゃうぞ作戦』。
買い物は、メリッサとオスカー共通の趣味。そして様々な都合で、未だに一度も実現していないイベント。
楽しいことをしている時は気分が良くなり、そうすると必然的に良い部分が出てくるはず――。2人はそういった結論を導き出し、関係修復のプロデュースを行っていたのです。
「我が主は以前から、お揃いのネックレスが欲しい、と仰ってましたよね?」
「メリッサお嬢様も。お揃いのネックレスが欲しいな、そう仰ってましたよね?」
「あ、ああ。そうだな」「う、うん。そだね」
「「でしたら是非、行いましょう……!! 天候良好、予定なし。状況条件は完璧でございますし……!! まずはネックレスを購入し、そのあとはランチやその他のショッピングを満喫する……っ。明々後日は街へと向かいましょう……!!」」
ズイッと。ハルクとリーンは主の真ん前まで歩み寄り、その手を両手でしっかりと握り締めます。
「メリッサお嬢様様……!! 向かいましょう……!!」
「我が主……っ!! 向かいましょう……っ!!」
「そ、そうだな。ああ、そうだな。メリッサも、それで構わないかな?」
「い、いーよ。オスカー、土曜日は一緒にお買い物をしよ」
ハルクとリーンは今、有無を言わさない迫力を纏っていました。それに、今は関係がうまくいかなくなっているものの、それはどちらもずっと願っていたことです。
なので2人は揃って頷き、3日後の予定が決まったのでした。
――ですが――。
4人全員が、まだ知りません。
この日の密会が切っ掛けとなってハルクとリーンは恋仲となり、やがてはおしどり夫婦となることを――。
そして――。
メリッサとオスカーは、その逆。その行動が、関係崩壊の決定打となってしまうことになると――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます