第6話 新たなモヤモヤ(メリッサ編) メリッサ視点(1)

「メリッサ、昨日は一緒に過ごせなくてごめんよ。今日は昨日の分まで、仲良く楽しい時間を過ごそうね」


 #ルーエンス邸で__このお家で__#暮らし始めてから、4日目のお昼ごろ。お部屋でくつろいでいたらトントンとノックの音がして、オスカーが来てくれた。

 オスカーは昨日からお家のお手伝いで忙しくって、午前中もやらなきゃいけないコトがあったみたい。やったっ、つまんない時間はお仕舞いだねっ。


「お疲れ様~オスカーっ。メリッサ特製の紅茶、飲む?」

「あ、いや、あのね。作業の効率を上げるためにコーヒーを何杯も飲んでしまって、#お菓子などすら入らない程に__・・・・・・・・・・・__#満腹なんだよ。今回はお気持ちだけ受け取っておいて、後日いただくよ」

「そっかぁ、お菓子も無理なくらい限界ならしょーがないよね。じゃーじゃー、ど~しよっか~?」


 紅茶を飲みながらのお喋りは、バッテン。#普通に__ふつーに__#お喋りするのも、なーんか物足りない。

 ん~と……。ん~と…………………………ぁっ、そだ!


「ね~オスカーっ。チェス、しよっ」


 昨日オスカーが出掛けてる時に、おば様に教えてもらったんだよね~。オスカーも初心者だって言ってたから、いー感じで勝負を楽しめそう。


「暇つぶしにチェスセットを借りてきてるの。オスカー、やろ~っ」

「ああっ、やろう! 流石だよメリッサ! 最高の提案だよっ!」


 あたしが言い終わった瞬間に頷いて、別のテーブルの上に置いていたチェスセットを早歩きで取って戻ってきた。

 び、ビックリした~。オスカー、お返事も行動も早~っ。こんなに活き活きするなんて予想外だよ。


「メリッサ、準備ができたよ。どっちの手を選ぶ?」

「ん~とね。左手」


 チェスは片方の人が白と黒のポーンを左右の手に隠し持ち、選んだ人がその色の駒を使うようになるの。今回は左手に黒が入ってたから、あたしは黒で、黒色は後攻になるのですっ。


「では、僕は白・先行だね。よろしくお願いします」

「よろしくおねがいしま~す」


 あたし達は揃ってペコリッとお辞儀をして、勝負スタートっ。

 昨日はやるコトがなかったからず~っとチェスを弄ってて、色んな戦術も覚えちゃったの。だから覚えた知識を総動員して、


「チェックメイト~っ!」


 最初っから最後まで、あたしが優勢っ。1回も危ない状況がないまま進んでいって、見事勝利となりましたっ。


「やった勝ったぁっ。オスカー、楽しかったね~。次は、なにしてあそぼっか――」

「メリッサ、もう1回っ。もう一勝負しよう!」


 トランプでもしよっかな~。って考えていたら、お声が遮られてテキパキと駒を並べ始めちゃった。

 な、なんかすごい迫力。オスカー、急にどうしちゃったんだろ……?

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