“Clan” as……
これで何度目だろう。
この星で、この言葉が口にされたのは。
僕たちの祖先が生まれた星から離れて果てしない場所。
膨張しきって、いがみ合って、疲れ果てた僕たちの祖先は、ついに、同じ言葉を持つ人たちだけが住む星を作り上げた。
それぞれが持つ、一番幸せだった時代を無限に繰り返すように。
夜空に向かって立つ、大きなクレーンは、それ自体が何かの記念碑やパビリオンのようで。いつも夢中で、前に進むことだけ考えたかった、そんな人たちの思いが詰まっている気がした。
クレーンの中にはトイレに行かなくてもいいように、あの中には一通りのものがそろっているんだよ、と教えられたのはいつのことだろう。
「僕はもう、幸せの味を忘れてしまったよ」
呟いた言葉に、街頭の黄色い光が白く染まる。晩秋というらしい――この寒さも、昔の人たちが気に入っていたそうなんだ。
「助けてほしいの。繰り返しから」
「繰り返しじゃないさ、毎日人の動きも、ものの数も、街の中身だって」
「それでも繰り返すの。いつになったら終わるのかわからない。不明確で、あいまいで、膨大で、でも繰り返すことだけは分かるの」
さまざまな悪徳も詰め込まれているようで、だけれど注意深く教化的で、もがくように長くてうんざりするほど膨大で。
「終わりが見たいの」
「終わりを」
気の遠くなるような年月を掛けて、一筋縄では終わらないように作られたシステム。
だけれどなぜだろう。
この星に住む人が、それを気に入っているためしはない。
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