すき焼きパーティーが催された

夕方のデッキは賑やかだった。


紅白の横断幕が貼られ、畳が敷かれていた。


ちゃぶ台があり、その上にはすき焼きの鍋や肉が並べられている。


今夜は氷川丸名物の、船上すき焼きパーティーの日だった。


船長の秋吉氏の姿もあった。


客をもてなす、プロの笑顔だ。


船員の方々はハッピや、ゆかたを着て、日本らしい雰囲気を演出していた。


外国人の乗客達には大ウケのようだ。


彼らもハッピをもらい、楽しそうである。


カメラマンの彼はそんな乗客達の楽しそうな姿を撮っていた。


以前私が一等食堂で横からステーキをつまみ食いした紳士もそこにいた。


彼は私を見ると、以外にも私を手招きをして、ここで一緒に食べようと言ってくれた。


アメリカの商社で働くビジネスマンで、帰国の途についているところだった。


すき焼きは美味く、味付けも良かった。


ひさえさんもいて、私にビールを注いでくれた。


彼女も浴衣を着ており、そして美しかった。


氷川丸は順調にアメリカへ向けて航行していた。


空には満月が浮かんでいた。

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