第9話 金になる玉

 アリスって本当におばかさんだよなぁ〜。

 未だに金貨1枚✖️30個(カエルの玉)の計算が出来ないらしい!


 そこでアリスに聞いてみたんだ。今回のお金で今日から泊まる宿にどれだけ泊まれるかなって


 もちろん冗談でだよ!


 そしたら必死になって考えてるんだよ、健気けなげでしょ!

「アリス、もう数えなくて良いからこれ持ってくれない?」

「はい、ごめんなさい……」

 シュンとなるアリス『可愛い』

「ねぇ〜、この玉結局なんだったの?」

「アリス、知らない方が良いこともあるよ!」

「……はぁ〜」

 そんなこんなで、ギルドに戻ってきた。

「あの〜」

「あ、アリスさん。どうしました?」

「クエストの報告をしにきました」

「エルダーフロッグの件ですね、わかりました。じゃあ出してもらえますか?」

「それなんですが、エルダーフロッグの討伐はしてないんですよ」

「……?? では何を?」

「これなんですけど!」

 アリスは受付代にエルダーフロッグの玉を30個置く。

「こ、これは! ちょ、ちょっとお待ちくださいね」

 しばらくして、奥からもう一人女の人が出てきた。

 その女性が、その玉を見て。

「これをどうやって集めたんですか?」

「これは……」

 アリスがぼくを見る。

「これは、ですね。私の召喚獣が、持ってきたんです」

 アリスがぼくを指さす。

「………召喚獣が、これを……ですか!」

「はい……」

「まぁ、とりあえず本物かどうか確認しますのでお待ち下さいね」

「わかりました」


 話を終えたのかぼくの方へ向かってくるアリス。

「はぁ〜! 疲れた」

「どうしたの?」

「あの玉を見せたら、どうやって取ってきたのかって怪しまれたよ、召喚獣が!って言ったけどね」


『あぁ〜、召喚獣がって言うところがやっぱりおばかですねぇ〜!』


「アリスさ〜ん、こちらへお願いします」

「あ、はーい! 行こうアグー」

 アリスとぼくは、とある部屋に招き入れられた。

 その際、受付嬢さんにめっちゃ見られたけどね。

『そら見られるよね、蜘蛛だし!』

 部屋の中にはさっきの女性が椅子に座っていた。

「マスター、お連れしました」

「ありがとう、アリスさん。その辺の椅子に座って下さい」

「はい」

「改めまして、ここのギルドマスターをしています、ナタリーと申します、そっちは受付をしているメアリーです」

「何回かお目にかかっていますが、メアリーと申します。今後ともよろしくお願いしますね」

『顔がよく似てるな』

「お二人は……」

 アリスが聞くと「姉妹なんですよ私達」と言われる。

『やっぱりね』

「では、本題へ。あの玉を全て見させて頂きましたが、全て本物でした。本物でしたが、今回持参されたあの玉は質が良すぎるんです!」

「うん? どういう事ですか?」

「ちょっと待ってて下さいね」

 そういうと、少し席を離れるナタリーさん。

 戻ってきた彼女の手に何か乗っていた。

「これが私達が特殊報酬として出している物です」

『ああ〜、確かに明らかに違うね』


 ナタリーさんが持ってきた玉はかなり霞んでくすんでいた。

 いうなれば、一面に油膜が張ったフロントガラスみたいな。

そして、ぼくたちが持って来た玉は。


『もう、言うまでもないよね、ステンドガラスで出来たフロントガラス』


 どっちも見にくいけどね……。


 まぁそれほど差があるって事なんですよ。

「全然違いますね!」

 思わず口にする、アリス。

「アリスさんこれをどこで手に入れたんですか?」

「あ〜、さっきも言ったんですが、私は知らないんですよ。気づいた時にはこの子が持って来たんです」

 アリスはぼくを指さした。

「あの蜘蛛がですか?」

「あの子は私の召喚獣なんです」

「はぁ〜。 とりあえず、アリスさんが持ってきて下さったこの玉はかなり高価な物だと考えられまして、本来なら金貨30枚なのですが、一晩持ち帰らせて頂いても良いでしょうか?」

「それは構いませんけど」

「では明日、再度こちらまでお越し下さい」

「わかりました」


「ど、どうしようアグー」

「まぁ明日まで待つしかないね」

「いや、そうじゃなくて」

「うん?」

「私もう計算が追いつかない……」



『まだ計算してたのね』



「もう計算は良いから行くよ、クエストボード見てから帰ろうよ」

「うん、わかった」

 ぼくたちは、ボードを少し見てから宿に帰宅した。


「お帰りなさいお姉ちゃん」

「ただいまリリー」

「蜘蛛さんもお帰り」

 右手を上げておいた。

 部屋に戻るとアリスが服を脱ぎ始めたので、凝視した。

「アグー?」

「何?」

「何でこっち見てるの?」

「気にしなくて良いよ、うん」

 一枚また一枚と服を脱いでいく。

『もう少し、もう少しで……』

「アグー?」

「はいっ!?」

「アグーって性別あるの?」

「へぇっ? 何でいきなり?」

「だってめっちゃ見てるし」

「良いじゃん見ててもぼくのご主人様なんだから、それにあの時全て見てるし」

「あの時?」

「ため池の時だよ、アリスの体良かったなぁー」

「………」



『うん、快適空間久しぶり! ちっ! 後1枚ずつだったのに』



 そしてしばらくしてあれがやってきた。

『これだけは何とも慣れない』

「やあ! アリスさっきぶり!」

「ジトー!」

『うわぁ〜、めっちゃ睨まれてる』

「……アグー、そんなに私の○○○見たいの!?」


「見たいです!!」


「……即答! はぁ〜、この宿ってお風呂は………?」

「聞いてきます……!!」

 ぼくはアリスとお風呂に入りたいが為、召喚獣だという事をすっかり忘れていた。

「ちょ、ちょっとダメ! アグー、待って! 今のその姿はだめ!」


『うん? 動きにくいな! 何でた?』

 下まで行き、リリーのママさんが見えたので声をかけようとした時、こっちを見てくれた。

「あの〜……」


「ギャアーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

「ギャアーーーーーーーーーーーーーーーーーー」



 ママさんの強烈な叫びにビックリしたぼくも同じように叫んでいた。

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