Scene3:闇市に潜む者。
――エックスの施療院を出て、歓楽街の酒場で闇市の場所を聞き出す。そこで、冒険道具街区の奥地。迷宮跡の複雑な地下道と、張り渡された欄干を超えて闇市場の開催場所のことを聞き出した。
闇市に到着した二人は、新人を装った。相手から気取られないよう、そして声を掛けてもらえるように演技をして待ち伏せするのだ。
トリッシュ:「さてと、新人っぽくふるまわないとね」
プリムラ:「そうですね。うだつの上がらない新人だし、とんがり帽子をしまっておきますね」
トリッシュ:「おっと、確かに。装備をしまっておこう。シンプレート履いてたら全然弱そうじゃない」
プリムラ:「それじゃトリッシュ、端から端まで見て回りましょう。――ほら、この指輪なんてトリッシュに似合うんじゃないですか?」
トリッシュ:「えー、私はそう言うの良いよ。適当な物を見ながら『高いなぁ~はぁ』って溜息つきながら歩いて回ろう」
プリムラ:「トリッシュったら、そんな飾りっ気ないのもトリッシュの魅力ですけどね! 『はぁ~高いなぁ! この指輪!』」
トリッシュ:「『買えないよぉ』」
プリムラ:「『いつか良い事ありますよ!』――そう言いながら、例の薬があったり、黒いフードの男がいないか目を光らせましょう」
GM:ではそんな君たちの様子を、黒いフードは伺っていますね。本当にカモにしていいか――とね。
プリムラ:じゃあそこに、『300ガメル頑張って返しましょう!』と声を少し大きくします。
GM:なるほど! それを聞いたら、黒いフードが声を掛けますね。
黒いフードの男:「おやおや君たち、こんな所に迷い込んで、新人さんかい?」
プリムラ:敢えて警戒して、まずは返事をしません。
黒いフードの男:「いやいや、怪しい者では無いさ。そうだね、いわば君たち新人に幸せを運んでくる青い鳥さ」
トリッシュ:上から下まで黒いフードの男を見て言うよ。「青?」
GM:確かに!(笑)。フードの奥に覗く髪の毛が青色だったと言うことで一つ。
1号&2号:了解(笑)。
2号:人間の男性……ぽい感じですか?
GM:ですね。
プリムラ:「じゃあ、どちら様ですか?」
黒いフードの男:「新人を応援する男、カミュって言うのさ。今流行のこのポーションを渡しているのだが、興味ないか?」
プリムラ:「えっと、どんなものでしょう?」
GM:すると、カミュは懐から小瓶を取り出します。中には灰紫色の液体が入っています。
2号:向こうが透けていない!
GM:透けていないです!(笑)。
カミュ:「こいつを飲むとな。瞬く間にHPとMPが回復するんだ。ちょっと無理をできるようになる。迷宮の奥に行ける。そして新しい魔剣を見つけることもできる。この街で名を上げるには、こいつが欠かせないぜ」
トリッシュ:「えー、でも私達お金ないんだけど」
カミュ:「そりゃ新人に金を求めちゃいないさ。これは、後払いの300ガメルでいい。使った後で払ってくれ。その頃には、お前たちは大金持ちだろうからさ」
2号:さっき返せないって言った金額(笑)。
カミュ:「何せ、今新進気鋭の2級冒険者、氷瀑の魔導士ニューイや、煉獄の錬金術師カトリーナも愛用しているんだ。……む、知らない? そうかそれは仕方ないな」
2号:有名人商法!
1号:それ以上はいけない(笑)。
GM:怪しい男ですからね(笑)。
トリッシュ:「どうするプリム?」
プリムラ:まあもらうことには変わりないんですが……。「身体に悪そうな色をしているのですが、大丈夫なんですか?」
カミュ:「これを飲んで害のあった者はいないさ」しれっと言いますね。用意している台詞なので。
2号:なるほどなるほど。
プリムラ:「これって何が入っているんだい?」
カミュ:「ほう。それを知っていたら、お前さんも大金持ちになれるんだが、俺がそれを教えるとでも思うのかね?」
プリムラ:「それもそうですけど。うーん、でも見たことない色してますし……」と、疑いの目は向けたいですね。
トリッシュ:「ねえ、効果は確かなの?」
カミュ:「そりゃあ間違いないさ!」
GM:そこにタイミングよく通りがかったサクラが声を上げますね(笑)。
サクラ:「あ、カミュさん! いつもお世話になってます。そのポーション使ってからもう儲かって仕方ないッスよ! 今日も次のいいッスか? あざーッス! プハーッ! うめー! もうこれなしじゃ無理ですよ!」
GM:いかにもなベタな演技で主張します。
プリムラ:「やっぱりもらいましょうか、トリッシュ」
トリッシュ:「うーん。後払いって言うけど、いつ払えばいいの」
カミュ:「次が欲しくなったら、それと引き換えに前回の分を払ってくれればいい」
トリッシュ:「そっかー。次に貴方に会うのは、ここに来れば会えるの?」
カミュ:「ああ、そうだ」
プリムラ:「もらいましょうよ。トリッシュ」
トリッシュ:「そうだねー。じゃあとりあえず一本もらおうか。ところでこの薬、名前あるの?」
カミュ:「この薬は通称『ナイトアイ』と呼ばれている。もし俺を見つけたら『目はあるか?』と声を掛けてくれ。」
***
1号:こんなもんかな……。あ。これは一本だけ? 二人いるけど。
GM:望めば二本でも。一本なら300ガメルだし、二本なら600ガメルになるだけです。ちゃんと払うならですけど。
1号:あー、じゃあ一本でいいや。払わないし。飲まないし。
GM:ですよね(笑)。
2号:じゃあとりあえず一本もらいまして、どっちが持っておきます?
1号:じゃあトリッシュが持っておこうかな。
――危なげなく、無事にナイトアイを手に入れた2人。落ち着いた所でゆっくりと観察をしようと相談し、エックスに見てもらおうと思いついた。
場面は再び、下町の施療院へと戻る。
***
プリムラ:患者さんには絶対に聞こえず、見えない場所で――。
トリッシュ:「例の薬、これなんだけど」
エックス:「まさかこんな早く見つけるとは。分かった。僕の部屋で詳しく見よう」
GM:エックス曰く、薬から魔術の要素を感じるものの、専門分野とは程遠く詳しいことは何も分からないと言われます。どうせなら、魔術師ギルドの方で聞いた方がいいかもしれないと二人に提案しますね。
トリッシュ:「急に行ってもな……何かツテでもある?」
エックス:「そうだな。僕自身、施療院を長くやってるからね。顔は利くと思うよ。それに君たちだって、ガーディ君の正式な依頼を受けている訳だし、衛士隊を後ろ盾に話を通せば、情報はもらえるのではないかな」
トリッシュ:「そうかー。でも、魔術師ギルドにもしもこの薬に関わっている人がいたらやばいよね」
プリムラ:「確かに。さすがですねトリッシュ!」
トリッシュ:「だから、私たちが知る範囲で話を留めたいなって。ガーディか、エックスのどちらかの範囲」
プリムラ:「うーん……そういえば、衛士隊の現状がことなかれ主義、腐敗した状態を知っているので、衛士隊のツテですよって行くとかえって危ないのではないかなって」
トリッシュ:「うん。それもそうだ。結局一番いいツテは、エックスさんかなーって思うんだけど」
プリムラ:「そうですね。なので、エックスさんのお知り合いで詳しい方とかいないのかな」
エックス:「そうか分かった。魔術師ギルドでうちに薬を卸してくれている子がいるから、その子を紹介するよ」
***
『Scene4:尖塔の魔術師ギルド』へ続く。
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