第7話 忍ぶ血筋が滾ろうぞ

 都内某所


 「全っ然客つかまんねぇなぁ。」

ノルマ達成しないとなんねぇのに、ったくラクだと思って始めたけどドライバーもキツいよなホント。


「来たれ鉄籠!」


「お、客か?」

良かった、ノルマ増やせそうだ。


「どうぞ」 「済まぬ。」


「どちらまで?」

なんだあのカッコ、忍者か?


「前の鉄籠を追ってくれ。

〝なるはや〟で頼む」


「前の車ですか?」

忍者がなるはやとか言うな、ちょっと古いし。

ていうか古来の奴が言ってるし。


「気付かれないように頼む。

息を殺し、音を断ち、風の如く振る舞いでお願いできるか?」


「は、はぁ..」

自分でやれよ!

忍者のソレが鉄籠で出来るか!

ていうか鉄籠ってなんだよ頑なな言い方っ!


「そんなにお急ぎですか?

前の車一体何したんですか、知り合いとか」


「見てしまったのだ。

建物と建物の間で話し込んでいた二人組が、片方が紙の束を受け取り、もう片方は胸を押さえてその場に倒れた。拙者が追いかけているのはその紙の束を持って立ち去った方だ」


「……。」

大事件の予感っ!!


「ノルマ以上に達成しそう..。」

偶には鉄籠も悪くないで御座る。


今日の忍法

『鉄籠ノルマ崩し』

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