第19話アルファード誕生日
「どうされました?何だかお元気がありませんが?」
3日後アルファードの誕生日パーティーが催される。その為、早めにゼット様は王宮に入っていた。と言うよりも、ゼット様のお母様アクア様がポルテ様と過ごしたいというのが大きな理由だ。
そしてゼット様は王宮での夕食ではなく、私と、とわざわざ文でお願いをされ、この間と同じように、学園まで迎えにきた。
が、とても、おとなしかった。
何か思案されている様子で、屋敷に着くまで、必要以上に話をされなかった。
正直気味が悪かった。
屋敷につき、夕食までの時間談話室に皆が揃うと、おもむろに、
「先日は申し訳なかった」
と、ソファに座ったままだが頭を下げてきた!
「お止め下さい!」
すかさずお父様が、とめにはいった、
「軽はずみの行動を取ってしまい申し訳なかった」
あまりに真摯な言葉と表情に、私達は困惑した。
「ゼット様?どうされたのですか?」
隣に座るゼット様に私は声をかけた。
「アルファードと婚約が解消された事に舞い上がり、俺はカレンの気持ちを全く、考えていなかった。つい、自分の想いだけで、全てが上手くいったような錯覚に陥ってしまい、肝心のカレンの気持ちをおざなりにしてしまった。本来なら家族を含め話し合いで決めるべき事だ。俺は第1皇子。その重荷を背負うべき覚悟を真摯にお互い向き合い、それから婚約に進めねばならないのを、先走った行動を取ってしまった。申し訳ない」
また、頭を下げた。
「お止め下さい!とりあえずカレンの話しをされに来たのでしょう?」
お父様がどうしていいのかオロオロする。
「ああ。そうだな」
頭をを上げると私を優しく見た。
「先日、婚約の手続きを進めると言ったが、まだ、進めていはいない。よく考えてみればまだカレンには2年の学業が残っている。その間に、俺の事を知ってもらえばいいと思った。カレンにとって俺が婚約者に相応しくなれるように努力しようと思う」
「そ、そんな大それた事を私のために仰らなくても・・・私の方が相応しくならなくていけません・・・」
「いいや、カレンはそのままでいい。いつも思っていた。アルファードの側で皆が、仕方なさそうに笑っているのを、もう少し安心させればいいものを、と」
そんな風に笑っていたんだ。確かにアルファードと一緒いると不安と言うより、私が支えなきゃ、と思っていた。
文でも感じたが、ゼット様は本当に私を見ていたんだ。
「だから、俺の側では、皆が安心して笑えるう約束する。カレンを不幸しないために」
落ち着いた声で皆を見回すと、暖かい微笑みを見せた。
お父様やお母様、兄様もとても、安心したように頷かれた。
「ゼット様のカレンに対するお気持ちは分かりました。ですが、もし、カレンがゼット様を選ばなかった場合はどうするのでしょう?」
「それはない。俺にはカレンしかいない」
バッサリとお父様の言葉を、相も変わらず自信満々に言い切った
そこは変わらないんですね、と笑ってしまった。
「では、ゼット様。私がゼット様を選ぶように努力してくださいませ」
「勿論だ」
嬉しそうに微笑んでくださった。
3日後アルファードの誕生日はつつがなく終わった。
ゼット様のエスコートの相手として招かれた。
アルファードとシルビアは緊張した顔で、一生懸命に頑張っていた。
アルファードは人の名前を覚えるのが苦手だったから、まだまだ、て感じだったし、シルビアはぎこちないながらも、綺麗に足をせるように頑張っていた。
初めてアルファードに頑張ったね、と思えた。
お互いが支え合ってるんでしょうね。シルビアだから出来たことなんだろうな。
「どうした?やはりアルファードの方がいいのか?」
不安そうに聞いてくるゼット様に首を傾げた。
「寂しいといえば寂しいですね。私なりにアルファードが好きだった。だから、とてもあの時は悲しかった。でも、今の2人をみて幸せになって欲しいと心から思っています。でも、嫌味の1つぐらい言いたいですね」
「嫌味?」
「ええ。本当の愛を見つけて良かったわね、と」
言うと何故か苦笑いされ、
「その話は聞いた。カレンは以外に根に持つんだな。覚えとくよ」
と言われた。
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