第12話何をしに来たんでしょうか?

隣の国の第1皇子だ。


そしてお母様は、ポルテ様の姉。


アルファードとは親戚になり、歳は3つ上だ。


だから、舞踏会などがあると必ず参加されるがさほど話をした事もなく、何故ここに、それも屋敷に送ってくれるんだろうか不思議だった。


「まあ、座れよ」


「はい」


言われ、前に座った。


整った顔立ちで凛々しいが、言い方がはっきりしているというか、ぞんざいというか、きついというか、とにかく苦手な人だ。


暫くすると馬車は動き出した。


ああ、と思った。


婚約解消したから、シルビアを見に来たのかもしれない。


「王宮に行かれるんでしょ?逆方向ですが良かったのですか?」


「いや、王宮には用は無い。カレンに用事があってきた」


「私、ですか?」


「ああ」


射抜くような強い瞳で見つめてきた。その瞳が苦手で、俯いてしまった。


じゃあ何しに来たの?それも私に用事て何も思いつかないけど。


「まさか・・・慰めにこられた、とか?」


それぐらいしか思いつかない。


「慰めて欲しいのか?」


怪訝そうに言い返された。


「いいえ、そんな事はありません!」


すぐに首を振った。


じゃあ何しに来たのよ・・・。


アルファードの柔和な感じと違い、ゼット様は威圧感がとてもある。王になるには相応しい威厳だろうが、何故か怒られたような気持ちになり、萎縮してしまう。


変な沈黙が流れた。


「お前、俺が苦手だろう」


「え!?」


唐突に言われ、顔を上げ、目が合った。


「・・・まあ、知ってたがな。どうした?いつもの作り笑いが出来てないぞ。そんな顔をもするんだな」


からかうように笑われ、むっとしたが、すぐに深呼吸した。


「作り笑いとは失礼です。それが貴族の娘としての礼儀。どのような時も笑みを絶やしてはなりません」


「そうか?さっきの驚いた顔方が可愛かったと思うがな」


「えっ!?」


可愛いなんて、家族や友人にしか言われた事がなかった。アルファードも1度も言ってくれなかった言葉を、苦手だと思っているゼット様から、それも、こっちは凄く恥ずかしいのに、当たり前かのようにさらりと言ってきた。


「顔赤いぞ!どうした、体調が悪いのか!?」


急に立ち上がると、真剣な顔で私の横に来た。


「は!?」


額に手を当ててくる。


な、何!?


まるで押し倒しそうなの勢いでやってきた。


「熱はないな」


か、顔が近いです!


「おい、本当に顔が赤いぞ、大丈夫か!?」


「ちょっと!離れてください!!」


これ以上は無理です、と押しのけた。


そこでやっとゼット様も気づいたようで、慌てて離れた。


「す、すまない。熱があるのかと思って」


「・・・大丈夫です・・・。元気です・・・」


おかしな返事だと自分でも思ったが、もう、心臓がドキドキして、体中熱いし、何がなんだか分からなかった。


こんな慌てたゼット様初めて見た。


なんか、調子狂うなあ。


それから何を喋っていのか分からずずっと俯いていたし、ゼット様も何も喋らなかった。


そうこうしているうに屋敷についた。


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