第9話アルファードには戻らないわ

屋敷に帰るとお父様は王宮に呼ばれていて、帰ってきた所だった。談話室に来なさいと呼ばれ、部屋に行くとソファにぐったりと座っていた。


「ハリアー様に呼ばれたのですか?」


前に座ると、無言で頷いた。


それしかないだろうな。もしかしたらハリアー様が一番ショックを受けているかもしれない。アルファードにはカレンしかいないからな、といつも言われてた。そんなことはないと思う。だって、私はアルファードが好きだから頑張れた。シルビアだって、出来るわ。


「アルファード様とカレンの事を聞いたようで急いで帰ってきたんだと。どういう事だ、と聞かれたが、私も、わからん、と答えた」


「あの時宰相様がおられましたよね。ハリアー様が知られないということはお妃様がご存知では無いんですか?」


「その通りだ。ポルテ様はアルファード様から好きな女性が出来たと前々から聞いていたようで、ハリアーが出かけるのを狙ってやったんだろう。宰相様は、ポルテ様が口止めしていたらしい。ハリアーに平謝りしていたが、恐らく宰相から外されるだろうな。ポルテ様はアルファード様にあまり興味がないからな」


少し馬鹿にするような言い方で言った。


それは見ていてわかっていた。アルファード様が頼むと特に反対する訳でもなく聞いてあげる。


それに比べハリアー様はとても教育熱心だ。


たから、私がアルファードに注意するととても嬉しそうな顔をされた。


「どうにか別れさせるから、アルファード様と復縁させろ、と頭を下げられた」


「そんな・・・」


言葉に困った。


ハリアー様が頭を下げた、と言うのにも驚いたが、復縁に戸惑った。


他の人を好きになったと知ってて、側にいるなんて、耐えられない。もし、アルファードがやっぱり私がいい、と言ってくれたら喜んで復縁するけど、あんな2人を目を当たりにして、今はありえないだろう。


「そんな不安そうな顔せずとも、断っておいた。悪いがこれから先アルファード様がカレンが良かったと言っきても断るつもりだ。ハリアーにも言っておいた。お前は違う相手を探すべきだ」


恐らくハリアー様とかなり言い合いをしてきたんだろう。


疲れた顔でも、お父様なりに私の事を考えた結果なんだと思う。関わるなと言わんばかりのいい方だ。


「ありがとう、お父様。そうね・・・正直アルファードがやっぱり私が良かったわ、と言ってきたら・・・戻りたい・・・」


素直に思った事を言った。


「カレン・・・」


「でも、兄様が友人から私を紹介して欲しいと言われているんだ、て言ってくれたの。お父様も、アルファードから離れることを薦めてる。そんな事今まで考えもしなかった。もしかしたら、私の見る世界が狭かったのかもね。これからは、色んな方とお話してもいいのかもと思ってます」


辛いのは確かだけど、本当にそう思えた。


「そう言ってくれるなら・・・安心だな。ただ、ハリアーの事だ。何か言ってくるとは思うが、何か言われたらすぐに私に言いなさい」


「ありがとうございます。お父様」


私の答えにとても安心したように微笑んでくれた。


「ソリオの友人か成程な。誰を紹介したいんだろうな」


「さあ?お昼に兄様とオーリス様にジムニー様とは会いましたが、わざわざ紹介する程ではない方々ですからね」


「そうだな。何度か遊びに来ているしな。まあ、2人とも家柄もいいし、性格も良さそうだから問題は無いから、候補にあげといたらどうだ」


なんだか適当だな。


でも。


「候補、ですか。そうですね婚約者候補、とでもしましょうか?」


私がそう言うと、可笑しそうに笑いだした。


「そうだな、誰かみたいに、どこの馬の骨かわからんやつを連れてこられて、愛などぬかすよりも、余程いいな」


手厳しい言葉ね。聞かせてあげたいわアルファードに。


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