第6話お昼休み

「カレン」


名を呼ばれはっと顔を上げた。


セリカとステラが心配そうに立っていた。

「大丈夫?顔色悪いよ」


「・・・うん・・・」


「もうお昼だよ。外行こう」


ステラが労わるように言った言葉に、現実を突きつけられた。


今までお昼はアルファードと一緒に、私がつくったお弁当を食べていた。でも、これからは、アルファードはシルビアと食べるんだ。


別に2人と食べるのが嫌ではない。

でも、まだ、気持ちが追い付かなかった。


「2人は、知ってるでしょ・・・?」


「知ってるよ。シルビアが腹が立つくらいにいいふらかしてるからね」


「ええ、寮生がほぼ知っているようなので、お喋り好きもどうかと思いますわ。まだ、婚約者では無いのにもう婚約者気取りなんて、はしたないと思わないのかしら?」


セリカもステラも苛苛したように言いシルビアの方を睨んだ。


「やめてよ。もう、いいの」


慌てて立ち上がった。これ以上事を荒立てたくないと言うよりも、目立ちたくなかった。


「ああ!!アルファード様!!お待ちしてたんですよお!!」


大袈裟な甘える声が教室中に響く。


ついこの間までは、私を迎えに来てくれていたのに、今は私に見向きもせず違う方向を見ているアルファードが見えた。


シルビアが大きな包みをもち、私に近づいてきた。


「お迎えが来たから行くけど、約束守ってね。未練がましく邪魔しないでよ」


ふふんと笑うと迎えに来ていたアルファードと一緒に歩いていった。


意表を突く言葉に呆気に取られた。


まさかかアルファードがいるのにわざわざ言いに来るなんて予想外だった。アルファードには聞こえてはなさそうだが、周りの生徒には聞こえているはずだ。


「私、アルファード様がいつも食べている場所で食べたいですわ」


「いいよ」


2人は楽しそうに歩いていった。


「とりあえず、お昼行こうか。これから一緒に食べれるから2人の分も作ってきたよ」


もう関わりたくない、と言う気持ちで言ったのを気づいてくれて、2人は、何か言いたそうだったが、仕方なさそうにわかった、と言ってくれた。


 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る