第4話泣いてすっきりしました

何か物音や声がして目が覚めた。


「そこに置いてくれたらいい。何かあったら呼ぶから下がっていい」


「かしこまりました。では失礼致します」


兄様と召使いの声だった。


少しして扉が開き閉まる音がしたのを確認し、ゆっくりと起き上がった。


「起きたのか?」


「・・・うん」


泣き疲れてそのままソファで寝てしまったようで、体がだるい。


「顔パンパンだぞ」


苦笑いする兄様にふくれながら答える。


「そんな事分かってるわ」


目が腫れてるのも、凄く泣いたのも自分がよく分かっている。


「泣くのは皆知ってるんだ。どうせなら皆の前で泣けばよかったんだ。父上も母上も心配してたぞ。お腹すいただろ?サンドイッチ用意してもらったらから少し食べろよ」


優しく微笑みながら、私を見た。


「・・・うん」


机に置いてあるサンドイッチを見ると、急にお腹がすいてきた。


泣いて少しスッキリした気分だ。


サンドイッチを食べ出すと、兄様は安心したようだった。


「母上がカレンに新しい婚約者を探してあげて、て父上に言ってた」


「え?嫌だよ。心配してくれるのは嬉しいけど、見たこともない人と婚約したくないよ」


「私にはそんな事言うんだな。母上がこの人に決めたわ、と言って出されたら断らないだろ?」


意地悪そうに笑いながら、痛いところをつくな。


「だって、私の事を考えてのことだもの・・・」


「そう言うと思ったから、私から反対しておいた。こういう言い方が慰めなのかもしれないが、アルファード様だけが男性ではない。良かったのかもしれないよ。王宮から、アルファード様から離れてみたら、色んな物が見えてくる。変な意味じゃなくて、社交界で色んな男性と知り合ってもいいと思うよ」


「うーん。そう、かもね」


紅茶を飲みながら、兄様の話に確かにな、と思った。


もうアルファードの事は忘れないといけない。私ではない人を選んでしまったんだもの。


私は違う人を愛せる人探さないと、なんだか寂しい。


「もしもの時は、私の友人を紹介しよう。実は何人かにカレンを紹介して欲しいと頼まれているんだ。アルファード様と婚約していたから、皆無理だと諦めていたが、これからうるさく言われそうだからね」


「あら、意外と私モテるかもね」


「そうかもな」


顔を見合わせ笑うと、もっと心が軽くなった。


「それで、そのシルビアはどんな女性なんだ?」


「あまり知らないの。シルビアは寮生活をしているから私とはグループが違う」


「寮生活か。それならどうやって出会ったんだろうな?」


「アルファードが言うには、急にシルビアが大事に思えた、と言っていたわ。本当に些細な事に惹かれたんじゃないのかしら。私にないものをシルビアが持っていて、アルファードはそこを気に入ったのかもしれない・・・」


「そうか。それなら、カレンの持っているのを好きになってくれる男性を見つけないとな」


「そうね」


「さて、夕食はちゃんと顔出せよ」


ぽんと私の頭を撫でると、兄様は優しく言いながら部屋を出ていった。


アルファードに負けないように私も、本当の愛を見つけないとね。


なんだか、悔しいもの。


でも、正直学園で2人の顔を見るのは辛いだろうな。


そう思うと、また、胸が苦しくなった。


 


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