第2話愛した人にはなれなかった
この国の第1皇子であるアルファードの父ハリアー様と、伯爵家であるお父様は幼なじみでとても仲が良かった。偶然私達も同じ年という事もあり何かにつけてよく遊んでいた。
その為、何の問題もなく私達は10歳で婚約した。
何時の頃か分からないが、アルファードが
本当に好きな人が出来たら婚約解消しよう。別にカレンが嫌いな訳じゃない。一緒にいて楽しいし、とても落ち着く。でも、私もそうだけど、カレンにも、本当に好きな相手が出来たら、その人と一緒になれる方が幸せだと思う。
そう言われ、私は、わかったわ、と答えた。
だって、その時の感情は、私の事を考えての事だと分かったから。
なんて、優しいんだろうと思った。
それに私はアルファードが好きだったから、絶対そんな事ないと思ったし、アルファードが私以外の人を好きになるなんて、思いもしなかった。
今思えば、アルファードの気持ちをきちんと聞いた事もなかったのに、そう思い込んでいた。あまりに側にいるのが当たり前すぎて勘違いをしていたのかもしれない。
アルファードも、私の事を好きなんだ、と。
今朝早く王宮から使いがやってきて、アルファードが早急にお父様と私に来るように、と伝言だった。
嫌な予感しかなかった。
いつも週末は王宮に行き、アルファードと他愛の無い話をして過ごしていたが、先月から用事があると断られていた。
学園でも少しよそよそしかった。
不安一杯でアルファードの部屋に通されると、勝ち誇った顔で私を見ているシルビアが1番最初に目に入った。
これが恋人同士なんだ、と直感的に感じる2人の親密さがあった。
全てが崩れたような気がした。
シルビアは子爵の家で同じ歳で私と同じクラス。丸顔でとても可愛らしかった。でもアルファードとは違うクラスなのに、どこで仲良くなったのか、全く分からなかった。
私の何がいけなかったの!?
そう叫んで、聞きたかった。
でも、アルファードの幸せを望む、冷静な自分がいた。
婚約から6年経っていた。
あと2年で高等部を卒業し、国を上げての婚約発表・・・
私が・・・そこにいるはずだったのに・・・。
私は・・・私は・・・こんなにアルファードを愛していた。
でも、私は、アルファードの愛した人にはなれなかった。
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