一日目③

今日から高羽か。


 今日告白した人の妹が、俺の家族になっちゃったよ。


「よろしくお願いします」


 俺が言うと、彼女もペコリとお辞儀して、


「こちらこそよろしくお願いします。ちなみに、今日から泊めて頂いても大丈夫でしょうか?」


「ええと。決して泊めたくないわけじゃないんですけど、今すんでる所はどうしたんですか?」


「実は、今月で解約されてたらしくて」


「今月で解約? 勝手にですか?」


「お母さんは、高羽くんの……あ、もう高羽くんは、私のお兄さんなので、りく君って呼んでもいいかな?」


「え……いいけど……」


 なにこの破壊力。


 俺は、自分の胸を強く押さえた。


 彼女は、少しだけ顔を赤くして、


「やった。じゃあ私の事は六花ってよんでね」


 少し照れた表情の破壊力。


 可愛すぎるだろ。


「じゃあ、とりあえず疲れだろうから、部屋に案内するよ。二階の部屋で良いかな?」


「あ、どこでも……」


「それなら奥の部屋はどうかな?」


「どこでもいいよ」


 二階に上がって部屋に案内する。広めの和室だ。


「ここを使って」


「りく君の部屋は?」


「え? 俺の部屋?」


 俺の部屋は、階段をあがってすぐの部屋だ。


「私。隣の部屋でもいいかな?」


「え……なんで?」


「広い部屋はちょっと怖くて。りく君が隣にいてくれた方が安心かな」


「わかった。じゃあ隣の部屋にするね」


 俺は、彼女の部屋を、無心で掃除機をかけた。


「あとで布団を持ってくるよ」


「色々とごめんね」


「いいよいいよ。だってもう家族なんだから」


「でも本当にいいのかな? 急にきてこんなお願いして……」


「いや。正直、この家は俺には広すぎるんだよ」


 これは本心だ。


 俺一人に、こんな広い家はいらない。


 帰宅するたびに、母さんが死んだことを意識してしまう。


 親父も、母さんの死を意識したくなくて、この家から逃げ出した。


「ありがとね。りく君」


 大人びた笑みだった。


「あ、そうだ。お腹減ってませんか?」


 朝。作り置きしておいた親子丼があることを思い出した。


 六花さんが返事をする前に、彼女のお腹が、くぅ、とかわいい音でなった。

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