第8話「汗とハンカチ」
終わった…今度こそ終わった…
もう完全に詰んだ…
淫行摘発対象の未成年と全裸で添い寝またはそれよりも深い仲。しかも酔っていて記憶がない。
何をしたにせよ、何もしていないにせよ、倫理的に裁かれる。つか、さっきディクテオン洞窟を見たから淫行確定。
俺は終わった…
女はその鷹峰学院の特待生らしい。ともすれば間違いなく十代。それも来年や再来年の話をしたってことは高一確定。つまり十八歳以上は絶対にあり得ない。
高三から二年通う特待生なんて普通はあり得ない…つか高二からでもあり得ない。
そもそも鷹峰学院は完全実力主義で高一からの特待生すら無かった。その代わりに在校生は全寮制で生活費も支給される。
そんな鷹峰学院の特待生がダブっている筈がない。
女は十五歳、数えで十六歳…
終わった…
こうなったらもはや手段は一つしかない。
公にしないこと。
鷹峰グループはあの「赤い盾」や「石油一家」と並び立つ財力と権力を有していると言われている。
俺を消すことくらい造作もない。
公になれば死ぬか一生娑場に出ることがない生活をすることになる。
ヤバい…これはヤバい。どのくらいヤバいかというと無理矢理禁欲させたロリコン犯罪者の集団の中に、手足を拘束された全裸の高齢者を放り込むくらいヤバい。
欲望がピークに達したロリコン犯罪者に対して拘束された全裸の高齢者だ。孤立どころでは済まない。ちなみに俺はロリコンではないが目の前の女と何かあったならば事実上はロリコン野郎になる。
これが一番ヤバい…
「あれえ?おにいさん、どうかしたんですかあ?汗がすごいですよお?拭いてあげましょうねえ」
女はそう言いながら俺の額から溢れ出した冷や汗にも似た汗をハンカチで拭った。
そのハンカチを見た俺の頭に衝撃が走った。
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