第7話「制服は本物?偽物?」

 終わった…

 女が女である以上は言い訳は出来ない。というか男でもカストラートでも今さら言い訳は出来ないことには変わりはない。

 …まだだ!!!

 俺はやっと気がついた。

 俺が本当に言うべきだった事は「パンツ脱いで股間を見せてくんない?」ではない。

 俺が本当に確かめるべき事は「バベルの塔の跡地の有無やディクテオン洞窟の存在」ではない。

 そう、俺が訊くべき事は他にある。

 そうだ!俺はまだ終わっちゃいない!俺はまだ助かる!生還へのルートはまだ閉ざされていない!

 俺は自分にそう言い聞かせながら口を開いた。

 その結果がもたらすのは破滅か救済か…方舟は俺を受け入れるのか…蜘蛛の糸は途中で切れるのか…

 全てがこの後の質問の答えにある。


「なあ、ちょっといいか?それって鷹峰おうほう学院の校章だよな?」


「え?おにいさん、鷹峰を知ってるんですかあ?」


「あー、うん。まあな。そんでさ、お前…いや、キミは鷹峰学院と何か関係が?」


 俺は物凄く遠回しに訊いた。本来、俺が訊きたかったのはそんな事ではない。

 本当はこう言いたかった。

「学生なの?」、「何歳?」、これこそが一番の肝となる部分だ。

 そもそも本来ならば存在しない鷹峰学院の女物の制服の由来や性別は関係ない。

 状況として可能性が高い以上、俺が確かめるのは相手が淫行で摘発される年齢なのかどうかだ。

 この子が十代でなければ問題ない。正確には十八歳以上であれば俺はセーフだ。いや、本当に何かあったとしたらセーフではないけども…少なくとも淫行で逮捕されることはなくなる。

 頼む!頼む!頼む!頼む!頼む!頼む!

 俺は頭の中で懇願するように「頼む!」と繰り返しながら女の答えを待った。


「私は鷹峰学院の生徒ですよお。男子校ですけどお、会長が特待生として入学を許可したんですよお?来年度も再来年度も特待生ですよお」

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