第6話「ディクテオン洞窟」

「え?パンツを脱ぐんですかあ?」


「あ……」


 おいいいいいいいいいいいいいいい!!!

 なに言ってんだ俺はあああああああ!!!

 聞き方ってのがあるだろう!!!

 俺は心の中で自分自身にツッコミをいれた。

 なにやってんだ俺は…よりによって「パンツ脱いで股間を見せてくんない?」だと!?

 アウト!はい、アウト!この子が男とか女とかカストラートとか女子高生とか男子高生とか関係ない!名前も知らない相手にパンツ脱いでくれなんて言ったら人としてアウト!

 俺は言葉の選択を間違えた。というより、選択すらしていなかった。何も考えず無意識に言葉が出ていた。

 やろうとしていたのは股間を確認する事だから間違いなく「パンツ脱いで股間を見せてくんない?」という事は正解への最短ルートではあるが物には言い方がある。

 くそ!こんなことなら初めから一緒に風呂入っとけば良かった。ん?シャワー浴びるんだっけ?いやむしろ布団で寝ていた時に確認しておけば…

 そんなどうでもいい事ばかりが頭の中を駆け巡っていた。

 その時だった。


「うふふふふ。どうしたんですかあ?またくなったんですかあ?いいですよお。それじゃあ脱ぎますねえ」


 奇跡が起きた。

 女はスルスルとパンツを脱ぎ始めた。

 そして、パンツを脱いだ女は俺に近づくいて来てこう言った。


「はあい、脱ぎましたよお。それでえ、どうするんですかあ?」


「うおっ!?」


 ………久しぶりに見た。

 いつ以来だ?なんやかんやで二年ぶりくらいだろうか?いや、もしかしたら昨日同じものを見ているのかもしれない。だが、俺には昨日の記憶がない。

 女の股間にあるディクテオン洞窟を見たのは一年八ヶ月ぶりだった。バベルの塔は常に俺の股間に鎮座しているが、ディクテオン洞窟は久々だ。

 俺は久しぶりに見たそれに興奮を隠せなかったが、ギリギリ残った理性で女にパンツを穿くように言った。

 女は「もう良いんですかあ?」と言ってすぐにパンツを穿き、それから近くにあった自らの衣服、鷹峰おうほう学院の制服と思われる衣服を着た。

 女の股間にはカストラートの証であるバベルの塔を撤去した跡など無く、天然のディクテオン洞窟があった。

 どうやら正真正銘の女らしい。

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