第4話「学生服かそれっぽい制服か」

 シャワーーーーー…


「さてと…やるか」


 風呂場からシャワーの音が響いてくるのを確認した俺は改めて女の衣類を確認することにした。

 つかシャワーの擬音がシャワーーーーーっておかしくね?まあ、それはいい。

 俺はまずシャツとブラウスを手にしたが、至って普通の女物の服だった。少しいい匂いがしてムラムラしたのは内緒だ。

 俺は次に靴下を手にした。見慣れぬワンポイントがある女物のハイソックスで、少しだけ警戒していたくさい匂いはなかった。

 妙な安心感と罪悪感が胸に去来し、「ごめん。名も知らぬ子…」と俺は心で呟き、靴下の次にリボンを手にした。

 その時、俺はやっと気がついた。


「そう言えば俺、あの子の名前すら知らねえじゃねえか…」


 思わず声に出していた。

 ほんの十数分前に目覚めた俺は、名も知らぬ女と一緒に互いに全裸の状態で布団で寝ていた。俺は寝るときには常に全裸だから何もおかしいことはないのだが、女まで全裸なのはおかしかった。いや、そもそも女が隣で寝ていたことがおかしい。

 今、その女は成り行きでシャワーを浴びている。女の名前を俺は知らない。姓も名も知らない女が俺の家でシャワーを浴びている。

 恐らく女は若い。かなり若い。おっぱいの感触からして十代の可能性も高い。

 十代だとすれば高校生、ともすれば最悪の場合は中学生なんて事もあり得る。そうなるといよいよまずい…出来れば高校を卒業したけどまだ学生服を着て彷徨くであって欲しい。あるいは学生服っぽい制服を扱う業種か何らかの理由で学生服を着る仕事に就いている女であって欲しい。そうでなければ俺は未成年への淫行で逮捕されるかも知れない。それはヤバイ。どのくらいヤバイかって言うとかなりヤバイ。そのヤバさを例えるならば、全身の穴という穴から血を噴き出している状態で人喰い鮫がわんさかいる海に飛び込むようなものだ。

 全身から血を噴き出している時点でヤバイのにさらに人喰い鮫だ。これはヤバイ。絶体絶命だ。ちなみに俺はだからよりいっそうヤバイ。

 それはさておき、俺が淫行で逮捕されるための証拠…そうじゃない。縁起でもないことを考えるのは止めよう。

 俺の身の潔白を証明する可能性があるのは目の前にあるスカートとブレザーのうち、ブレザーだけだ。

 スカートの是非はともかく、ブレザーが本物の学生服ならば生地やボタンに校章や校名がある可能性が高い。

 俺は意を決してブレザーを手にした。

 そして俺は、ブレザーの肩の部分を両手で持って顔の前にかざした。


「………………うん、やっぱ夢だな…これはない。絶対にない。だってこの校章は俺の通ってた鷹峰おうほう学院の校章じゃねえか…」


 女のブレザーには予想通り校章があった。だが、それは女のブレザーとしては絶対にあり得ない校章だった。

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