第4話 娘の悔恨と涙

少々おどけてウィンク一つ投げ掛ける神父


そうして神父は彼女に微笑んで

口直しの為の蜂蜜を入れた暖かいハーブのお茶と薬湯を差し出す


「ブラザー・・」

ベッドに横たわるやつれた顔


彼女は身体を起こして目を細め、小さな声でつぶやくように、声をだす


薬湯に少々 顔をしかめ 甘い蜂蜜入りハーブのお茶に

ホッとした顔をする


「昨日は食欲があっただってねエリシアナ」


「はいブラザー有難うございます」


「ブラザー」


「私、約束したのです

あの樹の下であの人を待たなきゃ」


「必ず役目を果たしたなら 帰って来るって約束したんです。」


「でも・・私は約束を破り

別の方の世話になってしまいました。」


「あの人に会いたいですブラザー」


「でも、こんな裏切りをしてしまった私ですが

あの人に会いたいですブラザー」


彼女の瞳から流れ落ちる


涙・・。


「もう泣くのはおよし、そなたのせいではあるまい・・。

きっと彼もわかってくれる」


「ブラザー」



そうして、そうして

雪の降りしきる日だった


彼女が家から抜け出して

あの恋人達の樹の下で倒れていたのは・・



初稿 2022年9月28日06:22 最終更新

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