音信不通

お題：走る遭難 制限時間：15分

音信不通

「連絡がなくなってから、数時間だって」

「山奥だから電波ないだけじゃない？」

「そうかもしれないけど、はじめてのキャンプだよ？　もしかしたら、へんなところへいったかもしれない」

「へんなところね……。電車乗って、案内板にそって歩いてければ目的地だよ」

「たったそれだけのことだけど、不安しかない。だって、学校いくのにも反対側に向かっちゃうこだよ？」

「だったら、ついてってあげればよかったのに」

「今日はバイトがあってさ、とても合わせられる時間じゃなかった」

「今深夜2時だものね。働きすぎじゃない？」

「そんなことはどうでもいいよ。今は幼馴染」

「電車も終わってるだろうし、行けるのは明日じゃないかな。あたしたち免許証ないから追うに追えないし」

「……そうだね」

「逆にあのこは免許たくさん持ってるよね。バイクで行かなかったのが意外」

「たまたまおじいちゃんが乗ってでかけちゃったらしい」

「そっか。そういうときもあるよね」

「自分のはまだ親に許されてないらしい」

「それで明日一緒に行ったほうがいいの？」

「うん、始発でついてきて欲しい」

「あたしがついていっても何も役に立たなそうだけどね」

「そんなことはない。キャンプ場は意外に広い。入口と出口逆になったら、会うこともない」

「まぁ了解。助け合いは親友なら当然だよね」

「じゃぁ朝迎えに行くから、家の前で待ってて」

「駅で待ち合わせればいいのに」

「起きてなかったらこないから、念の為に訪ねておきたい」

「わかった。ママに起こしてもらうようにいっておくからたぶん大丈夫」

「……おばさんに迷惑かけるね」

「いいのいいの。今だって下でお酒飲んでるだけだし」

「……大丈夫なのそれ？」

「酔わないからね。量だけが多いだけ。約束を忘れることもないよ」

「わかった。じゃぁ、また明日」