アパート
古漫画が乱雑に積み上がった万年床に、西日が射しこんでいる。部屋の隅っこで体育座りをしている先輩に話しかけた。
何読んでるんですか、と覗きこむと、『けるびん!』というセリフが目に入った。よく飽きないですね、という呟きが聞こえたらしい。先輩が「お前読んだことあるんか」と顔を上げる。すっかり忘れているらしいが、それは元々俺の漫画だ。
「ええか? 妖怪ハンターは傑作中の傑作やぞ。飽きるわけないやん」
先輩は呆れたようにこちらを見る。
「まずな、設定にリアリティを持たすことで世界観に入りやすくしてるやろ。これがすごい。どれだけ有り得へんと思うような設定でも、よく練られてるから違和感なく読める。ほんま脱帽するしかないわ」とため息をついた。
先輩の漫画好きは知っていたが、ここまで妖怪ハンターが好きだとは思っていなかった。こちらを睨む稗田教授から目をそらし、俺はガリガリくんを食べませんかと提案した。「まだあかん」と頑固に首を振る先輩。西日はまだまだ部屋を照らしている。
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