帝王教育
バブみ道日丿宮組
お題:帝王の声 制限時間:15分
帝王教育
生まれて14年。親という存在を見たことがない。存在することは確かだが、写真ですら見たことがない。大富豪だということはわかってるが、果たして見たことがあったりするのだろうか?
「……」
見たことがあるのは名前。
仕送りしたという短い文章が手紙として同封されてる。
家のことは家政婦さんがずっとやってくれてる。毎日切り替わるので、固定の人はいない。なんでもへんな感情をわかせないためにだとか。
小さい頃は不思議でしかなかったね。毎日違う人が家事をするんだから。まぁ……今も不思議ではあるか……。
「今回のは大きいな」
数百万のお金が口座に振り込まれてた。
これはおそらく……高校のお金に違いない。
いや……入学する前にもう一度振り込まれるはずだ。中学の頃がそうだった。
じゃぁ……なんだろ?
「どうしましたか?」
「なんでもないです」
拭き掃除をしてた家政婦さんが訝しがりながらこちらを見てた。
独り言よくない。
子どもからの癖だ。親しい人が友だちしかいないということもあって……というかそこまで仲が良いこもいない。
親しくなれば、当然家で遊ぶこともあるし……で一定のライン以上に踏み込ませることがなかった。
だから、友だち以上親友以下という感じ。
「……」
もしかして、これか? というのをネットで発見した。
帝王は誰よりも誇らしいことをして、威張り散らす。
ニュースのトップにとある富豪の人が偉そうに写真付きでコメントしてる。記事を進ませてると、多くの富豪が権力を使って、孤児院やら、貧困層にお金を配ってるということだ。
それって帝王関係あるのか? 慈善行為なだけじゃないか?
なんにしても、それにもしかしたらわたしも該当してるのかもしれない。
いや……富豪が富豪の子どもにお金を寄付するっておかしいだろ。
でも……事実かどうかはわからない。
「今日はカレーですので、温めて食べてくださいね」
「ありがとうございます」
家政婦さんはそういって帰ってった。
一人暮らししてる3LDKはものがそんなにないので、掃除はわりとすぐに終わってしまう。残るのはわたしのご飯の準備だけ。それも一人分なので時間はそんなにかからない。
「……はぁ」
高校か。推薦で受けれると聞いてはいるけど、馴染めるだろうか。
親の求める子になれるだろうか。
わからない。
こればっかりは本人に聞くしかない。
そう答えを出すと、手紙に返信することにした。
『あなたたちはなにを子どもに望むのか。帝王としてわたしに手を貸してくれるのか』
と。
帝王教育 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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