友達だと思っていたのに……
ここはゲームの世界だったのか。
『……』
反応なし、昔なら魔力さえあればなんでも答えてくれたのに。あのころ、たまに魔力の要求は大きすぎて、払えないときもあるけど。
ここは偽りの世界だとしても、ここはわたしの現実に変わりはない。
それより、なぜわたしをNPCだと思うか、
ちょうど
「ただいま~。マウラさんを連れてきたんですよ~」
「
純白な聖職者の服を着ているロングなサラサラしている金髪の女の人だが……。
「誰?」
「えっ? 私のこと忘れたの? ひどい、わざわざ
「……? 知らない」
「えっ……えっと、ララちゃんですよ」
彼女はもじもじしていて、顔が真っ赤になって俯く。
「ララちゃん……? あー」
ララちゃんは一応わたしの友達、教会のシスターだ。パパが仕事のためにおじいちゃんの教会に行くとき、たまにわたしを連れておじいちゃんに会えに行く。おじいちゃんが忙しいとき、相手にしてくれるのはララちゃんだ。
「やはりあだ名の方が覚えてるのね……」
変わりすぎた、主に胸、この前ではまな板だったのに、背長も伸びたし。
「ララちゃん。人間をやめたんだね」
「え? なにを言ってるんですか?」
「いや、なんでもない」
「
みんなはお姉ちゃんから事情を聞いたんだろうね。
「うーん……大体合ってる。ララちゃんはどうしてここに?」
「元々医者たちと一緒にメイロスという町に出張する途中なのよ、
メイロス? 知らない名前。
シスターは医者と一緒に出張するのか?
「メイロスに謎の病気にかかった人たちがいるの、それを調べるための出張ですのよ」
調べる……シスターは病気に詳しいのか?
「その騎士たちは?」
「えっと、ここだけの話ですけど、メイロスにある病院で行方不明者が連続で出たらしいよ」
「行方不明者の探し?」
「そう。それより、大事なことがあるの……」
彼女の赤くなった顔がしっかりこっちに向いている。
「私、
「そう、おめでとう」
「えっ? それだけ?」
「うん、それだけ」
「よかった、反対はしないですね」
「じーっ……」
「君たちの人生だ、わたしが反対する義理はない」
「
ララちゃんはわたしを抱きしめようとするとき。
スッと、ベットから緊急脱出。
「あ、あれ? 避けられた?」
「癖だから」
今度はわたしの方でララちゃんを抱きついた。
「あっ……」
ララちゃんは驚いたが、その腕がすぐにわたしの背中に回り、軽く抱きしめてくる。彼女の弾力がある胸に頬を寄せる、ピッタリとその隙間に吸い付く。人に落ち着く心音、心を温める体温が伝わってくる。
どうやら人を抱きしめると幸せを感じるという話は本当だった。
「ふふっ、安心したわ、
そう、昔のわたしならこんなことするはずがない、自分のことがおかしいのは分かっている。だがしかし、これは断じて甘えるじゃない、仕方なく抱きしめるだけだぞ、勘違いされては困る。
心のどこかで痒くて耐えられなく、ララちゃんから離れた。
「きゃあっ! ラフィーさん! 変な声を出しちゃったわ、もう……」
「中に入ったら~?」
「でも、大事な話してるみたいだし、邪魔したら、悪いわ」
「もうバレたのですよ~」
「あっ……」
この前よりも小さくなったララちゃんがドアから頭を出して部屋の中を覗いでいる。
「ララちゃんが二人……ララちゃん。やばっり人間をやめたんだね」
「なにを言ってるんですか、娘のアイリスですよ!」
ちっちゃくなったララちゃんがようやく体を出して部屋に入った。
最初から扉に、その小さいな頭が見え見えなんだけど。
「大事な話をしてるところで、失礼しました、
子供までできたのか……。
「いいや、大事な話じゃないから、気にしないで」
「えっ? 大事な話じゃないの?」
「……? それ、自慢話じゃないか」
「ひどい!」
離婚したいとき、相談乗るつもりだったが……考えてみれば、相手はそろそろ四十代のおっさん……いいや、今は六十代か、もうおじいさんじゃないか。恋に年齢は関係ないと言っても、あのいつか死ぬにも分からないおっさんにはもったいない。
「責任を負ってるなら、最後まで果たせるんだぞ」
「分かってるよ、
そういうむず痒いセリフを口に出さないでほしいものだ。
ララちゃんがアイリスの方に向いて、その頭を撫でている。ララちゃん目から見ると、ララちゃんはもうしっかりお母さんになった。
「お、お母さま……」
アイリスの方は照れているが、口の端が少し上げている。
思えば、ララちゃんに会えば、パパの話を聞くことが多いが、そこにあるのはただの憧れだった。どうしてこうなったのは分からないが、たぶんパパのせいでしょう。ララちゃんが
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