第15話
「おかしいな、あまりにもおかしい」
人っ子一人いないぞ。
ってなれば…
「何らかの出来事があったと思っていいわね…」
「…俺達の知らない時に…か。でもまるで女神も知らなかったみたいじゃないか?」
「…確かに、女神もこんなに人がいないとは思ってないんじゃねーの」
「…まぁ、あの女は猫かぶってそうだし、なんとも言えないなあ」
とりあえずは、冒険者会場の前までついたわけだが。
その中にも人がいない。
いやぁ、一応いた。
「お前ら…」
それは、Sランク組だった。
そして、ほかBランク組。
が、それしかいない。
「一体…」
俺達が話し合っていると、城の方から轟音が響いた。
「…!?」
何かが爆発した?
◇
「な、んだ、と」
もう異界召喚は成功していた。だがしかし、それは想定内であった。
のだが、まさかそれが人だとはな。
しかも見たところ、最も厄介な、成長型であるようだ。
(あの四人組…なんという魔力量だ…)
城から最初に出てきた四人組の保有する魔力量はかなりえげつない量である。
とは言え、一人を除いて歩き方から警戒の仕方まで何から何まで駄目なのだが。
(まだ召喚されてすぐなのか)
と、思えば今やっておくと有利になるかもしれない。
「…」
四人組が俺の近くを通り過ぎていく。
俺が自分にかけた、Lv7魔法
そして、当たり前のように通り過ぎていきーー。
「…」
ドクン。
心臓が跳ねた気がした。
あの一番前の黒髪の男…
まさかな。
そんな訳はない…はずなのだが。
「…ん、まだ出てくるのか」
次から次へと出てくる。
とりあえず、これは人数確認のチャンスだと思い、数を数えていく。
…二十人か。
それなり、だな。
「よし、じゃあもう出てくる気配もないし、やるか?
「ほぅ、いつから気がついていた?」
「てめぇも俺のこと、みえてたんだろ?」
「ふ、お互い様、ということか」
「あぁ」
それを切り口に、
ダン!と地面に足を踏み込む。
Lv9魔法
右手が黒き渦につつまれる。
そして、勢いをつけて
「ふん」
その拳を軽くあしらう
単純な戦闘力では、俺は遠く
では何故、殴りつけたか、と言えば。
「む」
魔法、
人智を越えた、(人の限界がLv7程度)魔法。
そして、その闇で相手を傷つければ、相手へと闇が侵入する。
闇と善は表裏一体である。
相手の善が高ければ高いほど(つまりは神性が高ければ高いほど)闇はよく通り、相手の闇が深ければ深いほど通りづらくなる。(悪性)
その点で言えば、
「ぐ、ぬぅ」
物理的なダメージは殆どカットできるかわりに、魔法的ダメージに耐性が低い。
これも決め手となっている。
「きさ、まぁ!」
黒い闇が熾天使王の肉体を灼く。
が、強い神性の力ですぐにかき消された。
「…じゃあ、かき消せないほど拳を打ち込んでやる」
「
空に十二個だろうか、白い光をまとった矢が展開される。
おそらく、Lv10よりも上の魔法だろう。
一撃でも喰らえば瀕死級…か?
「発射ぁ!」
矢が俺めがけてうち放たれる。
神速の矢は俺の脳天を正確に捉えていた。
避けるのは困難を極める。
ならばここは、
「迎撃するまで」
殆ど同時に着弾したそれらを拳で打ち払う。
「!?」
と、それに夢中になっていた俺の目の前には、紅い球があった。
「
そうか、矢はおとりであったか。
こんな初歩的なミスをしてしまうとはな。
そして、それに無防備な体勢のまま直撃する。
爆発し、轟音が鳴り響く。
炎の範囲は、王城半分を包み込むほどであった。
「ふん、人間風情が」
ま、ここは後隙狩りが基本だ。
「
「がっ!?」
真の闇をもつ球が
ここで畳み掛けるか。
「
「ん!?う、動け…」
「さぁ、ゆくぞ!」
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